トランプ前米大統領が不倫の口止め料を不正に会計処理したとされる事件。初公判が開かれたニューヨーク市中心部マンハッタンの裁判所前では15日、トランプ氏を支持する数十人のグループと、より小規模な反トランプ派が集まり抗議の声を上げた。ニューヨーク市警は暴動などに備え、鉄柵を張り巡らせて厳戒態勢をとった。
「陪審員(候補)はリベラル派が多い。トランプ氏が無罪だと言う勇気があるとは思えない。同調圧力で有罪になる可能性がある」。自営業のスティーブ・マチンスキーさん(57)は、そう言って裁判所を指さした。首にかけた「MAGA」と編みこんだマフラーは「愛国的」な雑貨を扱う自社製品だという。MAGAは英語の「米国を再び偉大に」の頭文字で、トランプ氏の強固な支持層を指す。
マチンスキーさんは「秋の大統領選は本来は接戦であってはならないが接戦になるだろう。この国には多くの愚かな国民がいるからだ。腐敗した陪審員と裁判官の判断が彼らに影響を与えるはずだ」と主張した。
裁判所前に集まったトランプ支持者のなかでは少数派のアジア系であるウィリアム・チェンさん(58)は「トランプ 法と秩序」と書かれた大きな旗を掲げていた。「大統領選への干渉を目的にした不公正な裁判」に反対するために駆けつけたという。「私たちアジア系はよく働き、法を守る。不法移民が増えるとコミュニティーの治安は脅かされる。法と秩序を重視するトランプ氏に米国を立て直してほしい」と訴えた。
反トランプ派は「法を免れる者はいない」などと連呼し、公判の延期を図ったトランプ氏を非難した。70代のマーク・レバンさんは「民主主義は危機にひんし、トランプ氏はそれを破壊しようとしている。恥ずべき指導者は、責任を負うすべての事件で裁かれるべきだ」と話した。【ニューヨーク八田浩輔】
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