北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は5月31日、「中国がロシアの戦争経済を支えている」との認識を示した。チェコ・プラハで開かれたNATO非公式外相会合後の記者会見で述べた。
ウクライナに侵攻するロシアに対し、西側諸国は経済制裁を強めているが、ロシアの戦争継続能力に決定的な打撃を与えられていない。
ストルテンベルグ氏は「中国が軍事転用が可能な大量の装備と、先端技術や半導体を含む電子機器をロシアに提供している」と指摘。「こうした機器がなければ、ロシアはウクライナの攻撃に使用するミサイル、爆弾、飛行機を生産できなかっただろう」と述べた。
米国は昨年7月、ロシアに対する中国の支援を調査した国家情報長官室(ODNI)の報告書を公表。報告書は税関データや西側諸国の報道などを基に、中国からロシアへの半導体輸出の増加や、中国企業による航法装置や戦闘機の部品、無人航空機(ドローン)などの輸出を指摘している。
またロシアの収入源である原油輸出を制限する欧米や日本による制裁は、「影の船団」と呼ばれる闇タンカーの横行で骨抜きにされつつある。NGOなどの調査で、インドや中国が闇タンカーの受け入れ国として指摘されている。【ブリュッセル宮川裕章】
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