トランプ前米大統領(ロイター=共同)

【ニューヨーク=平田雄介】トランプ前米大統領が2016年、不倫の口止め料を支払い、その会計記録を不正に処理したとする事件の初公判が15日午前(日本時間15日夜)、東部ニューヨーク州の裁判所で開かれる。米大統領経験者を被告とする刑事裁判は初めて。トランプ氏は無罪を主張する方針。

公判は6~8週間かかる見通し。トランプ氏は他に3つの刑事事件で起訴されている。共和党候補指名を確実にしている11月の大統領選への影響も注目される。

トランプ氏は今回の事件で、初当選を目指した大統領選の投票日が目前に迫った16年秋、不倫スキャンダルの発覚を防ごうと、元ポルノ女優に口止め料13万ドル(約1900万円)を弁護士を通じて支払ったとされる。口止め料の支払い自体は違法ではないが、当選後、立て替えてもらった費用を弁護士に分割して弁済した際、一族企業の業務記録を改竄(かいざん)したとされ、計34の罪状に問われている。

トランプ氏は不倫そのものを否定。法廷で自ら証言して「潔白」を訴える意向を示している。裁判は水曜日を除く週4回開かれる。トランプ氏も原則として出廷する必要がある。15日の初公判では、陪審員12人を選ぶ手続きが始まる予定だ。

業務記録改竄の罪はニューヨーク州で禁錮1年未満の軽犯罪だが、検察はトランプ氏に「別の犯罪」を隠す意図があったとみて、重罪に問えるとみている。検察は別の犯罪が具体的に何かを明らかにしていないが、選挙法や税法に抵触したとされる。この場合の最高刑は禁錮4年となる。

トランプ氏は、他にも20年大統領選の敗北を覆すため連邦議会や南部ジョージア州の公的手続きを妨害したり、退任時に機密文書を持ち出したりしたとして起訴されている。同氏はいずれも「政治的な動機に基づく訴追だ」として無罪を唱えている。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。