人工妊娠中絶に使われる薬剤「ミソプロストール」の容器=2022年3月、AP

 米東部マサチューセッツ州の検察当局は27日、妊娠した元交際相手の女性に「鉄剤やビタミン剤だ」と偽って人工妊娠中絶薬を服用させた疑いで、同州在住の男性(43)を暴行などの容疑で刑事訴追したと発表した。米メディアによると、女性は出産を望んでいたが、流産した。男性は28日に出廷し、無罪を主張した。

 報道によると、男女は今年1月、デートアプリを通じて知り合い、交際を始めた。3月に別れた後、女性が妊娠に気づき、男性に伝えた。女性の警察への証言によると、男性は鉄剤などと偽って錠剤を勧め、「すぐに飲み込まず、口にしばらく含んで、溶かしてほしい」と要求。口の中をチェックして、女性が錠剤を服用したかどうか確認していたという。

 最後に女性が男性と会った際には、面会直前に看護師を装った電話があり、「鉄分をとる必要がある」と女性に告げた。その後に現れた男性は「たまたま鉄剤を持っている」と言って女性に錠剤を渡した。女性はその日の夜に体調が悪化し、流産した。看護師を名乗った電話番号にかけ直し、偽の電話だったことに気づいたという。

 警察の捜査で、女性が服用したのは、中絶に使用する2種類の薬のうちの一つだと判明した。男性は取り調べに「通販で購入したビタミンCや鉄剤を渡した」と供述。しかし、通話履歴から中絶薬を販売するオンライン薬局に電話していたことが判明した。「電話、ボイスチェンジャー」「9週、中絶、胎児」といった検索履歴もあった。

 マサチューセッツ州では遠隔医療を通じて、中絶薬を郵送で入手することが可能だが、男性が入手した経緯は明らかになっていない。【ワシントン秋山信一】

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