国際通貨基金(IMF)は29日、中国経済の年次審査を終了した。ギータ・ゴピナート筆頭副専務理事は声明で、中国の2024年の成長率見通しを5・0%とし、4月時点の予測から0・4ポイント上方修正する方針を公表した。
ただ、25年は4・5%に減速、さらに高齢化の進行や生産性の低迷で29年までに3・3%に鈍化すると予測した。また、米欧が、大規模な補助金を受けた中国製電気自動車(EV)などの過剰生産を批判する中、政府の産業支援を縮小するよう求めた。
IMFは今回の審査を踏まえて対中経済年次報告書を作成し、理事会の承認を経て発表する。
ゴピナート氏は声明で、24年の成長率見通しの引き上げは、1~3月期が5・3%と好調だったほか、政府による景気刺激策を踏まえたと説明した。中国政府が3月に公表した「5・0%前後」の目標達成をIMFも見込んだ形だが、国内需要は弱く、物価上昇率は低水準にとどまると指摘した。
長期化する不動産不況については、地方政府が在庫となっている住宅を買い取り、銀行融資でこれを支援する方針を最近発表したことを評価した。一方で、中央政府による財政支援も行い、債務超過に陥った不動産企業の処分などを進めるよう求めた。
このほか、消費拡大に向けて社会保障を強化するほか、「製造業を支援するゆがんだ供給政策」を縮小するよう提言。貿易・投資規制の撤廃も合わせて行えば、生産性が向上し、「世界的な分断圧力が緩和される」とし、過剰生産問題への対応を求めた。【北京・小倉祥徳】
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