米国務省の報道担当者は27日、北朝鮮による軍事偵察衛星の打ち上げについて「弾道ミサイル開発計画と直接関係する技術を用いており、国連安全保障理事会の複数の決議に違反する」と非難した。北朝鮮は打ち上げは失敗したと発表しており、米インド太平洋軍は「米国や同盟国にとって差し迫った脅威をもたらすものではない」としながらも、同盟国や友好国と連携して状況を分析していると説明した。
国務省によると、ジュン・パク北朝鮮担当特別代表代行が、日本や韓国の担当高官と今回の衛星打ち上げに関して対応を協議した。報道担当者は「米国は国際社会と連携し、北朝鮮の行動は孤立を深め、朝鮮半島の安定と繁栄を損なうだけだと強いメッセージを今後も送り続ける」と強調。北朝鮮に改めて対話の再開を呼びかけた。
バイデン政権は2021年1月の発足以降、北朝鮮の核・ミサイル開発を巡って、対話による解決を呼びかけている。しかし、北朝鮮側は交渉には応じず、ミサイルの射程や種類を多様化させている。米国の有識者の間では、北朝鮮を事実上の核保有国とみなす前提で外交を練り直すべきだとの声も出ている。一方で、北朝鮮の核保有を名実ともに許せば、核不拡散体制の形骸化がさらに進むとの懸念がある。【ワシントン秋山信一】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。