日中韓首脳会談の開催は2019年12月以来、約4年5カ月ぶりとなる。27日に韓国・ソウルで、岸田総理、中国の李強首相、韓国の尹錫悦大統領が会談するほか、26日には、2カ国間の首脳会談も行われた。3カ国首脳会談では、人的交流、科学技術、持続可能な開発など6分野における連携を確認する。林芳正官房長官は23日の記者会見で、日中韓首脳会談の開催について、「前回会談から国際情勢が変化する中、3カ国の首脳が協力の方向を議論することは、地域全体にとって重要な機会となる」と述べた。

米中覇権争いが激化し、追加関税などを巡り報復の応酬が繰り広げられている中で、日中韓の首脳が会談することになる。中国商務省は20日、「信頼できないエンティティーリスト」を発表し、台湾への武器供給を理由に、米ボーイング社など3社をリストに加えたことを明らかにした。また、中国外務省は21日、米国のギャラガー前下院議員を制裁対象に指定したと発表した。ギャラガー氏は、中国系動画投稿アプリ「TikTok」の米国内での利用禁止法案の可決を主導していた。さらに、中国外務省は22日、米国の軍産複合体に関わる12社とその幹部に制裁措置を取ると発表した。中国政府が米国のギャラガー氏や軍事関連企業に制裁を科したことについて、サリバン米大統領補佐官は22日、「全ての制裁に反対する」と反発した。

一方、米通商代表部(USTR)は22日、中国製の電気自動車(EV)、鉄鋼、アルミニウム、太陽光パネルに対する制裁関税を8月1日から大幅に引き上げることを発表した。新たな措置は、中国から輸入されるEVで25%から100%、太陽光パネルと半導体は25%から50%、鉄鋼とアルミニウム、バッテリー部品などは25%となる。ロイター通信によると、387品目が影響を受けることになる。USTRは24日、対中制裁関税について、5月末に期限を迎える適用除外措置の大半を延長せず、終了させると発表した。除外されていた429品目の多くで、関税の上乗せが復活する。

米国が半導体関連で対中輸出規制を拡大した経緯を確認すると、2020年には、中国通信機器大手「ファーウェイ」に対する半導体の輸出を原則禁止、2022年には、先端半導体及び半導体製造装置の中国への輸出制限の規制措置を導入、さらに、2023年には、半導体など特定のハイテク分野で米企業による中国への投資を規制すると発表した。半導体を巡る対中包囲網には日本も既に関与している。2023年7月、経済産業省は、半導体製造装置など23品目について輸出規制を強化した。

米CNNによると、今年11月の米大統領選で再選を目指すトランプ前大統領は14日、自身が大統領選に再選した場合、中国からの全ての輸入品に60%超の関税を課すことを検討する意向を示した。トランプ前米大統領は、在任時の2018年から、太陽光パネル、鉄鋼、アルミニウムなどの中国製製品に対して、最大で25%の追加関税を導入していた。これに対して、中国の国会に相当する全国人民代表大会で、常務委員会は26日、関税法を可決した。同法には、貿易相手国が中国の輸出品に関税を課した場合、報復できる権利が盛り込まれている。中国は、米大統領選挙でトランプ氏の再選を想定し、対中報復関税の引き上げを念頭に入れた動きの可能性があると見られる。

★ゲスト:柯隆(東京財団政策研究所主席研究員)、江藤名保子(学習院大学教授)
★アンカー:木内登英(野村総合研究所エグゼクティブエコノミスト)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。