全米大学体育協会(NCAA)は23日、スポーツの強豪校で、大学側が学生選手に試合出場などに対する報酬を支払うことを容認する方針を決めた。大学側が巨額の放映権料などの収益を独占していることに選手側が反発していた。ただ、1世紀以上掲げてきたアマチュアリズムと決別し、事実上のプロ化が進むことには批判も出ている。
NCAAは2021年、選手が企業などのスポンサーと契約し、知名度や肖像権などの対価として報酬を得ることを解禁したが、大学が試合出場などに対し選手に報酬を支払うことは禁止していた。米国の大学スポーツは、バスケットボールやアメリカンフットボールを中心にプロ並みの人気がある。男子学生バスケの放映権料は年間11億ドル(約1730億円)に上る巨額ビジネスで、一部の選手が公平な収益の分配を求めて提訴していた。
米メディアによると、NCAAの方針が裁判所に承認されれば、一つの大学が、対象となる選手全員に支払う報酬の上限は年間2100万ドル(約33億円)になる見込みで、25年秋にも支払いが始まるという。
ただ、学生が事実上のプロ選手として活動することには批判もある。NCAAは1906年の創設時にアマチュアリズムを掲げ、学校による選手への過剰な優遇措置を規制し、スポーツ選手にも学業との両立を求めてきた。米メディアでは、引き抜き競争の激化などを懸念する声が出ている。【フェニックス(米西部アリゾナ州)秋山信一】
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