イスラエルを巡る審理のため、国際司法裁判所の法廷に入る裁判官たち=オランダのハーグで5月17日、ロイター

 パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘を巡り、オランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)は24日、イスラエルに対して、最南部ラファでの戦闘停止を求める仮保全措置(暫定措置)命令を出した。南アフリカが要求していた。イスラエルがラファで続ける「限定的」とする軍事作戦では、既に市民も犠牲になっている。今回の命令を受け、国際社会から戦闘停止を求める声が強まるのは必至だ。

 ICJの命令には法的拘束力はあるが、強制的な執行手段がない。命令に先立ち、イスラエルの首相報道官は23日、「地球上のいかなる権力も、イスラエル市民を守り、ハマスを追跡するのを止めることはできない」と従わない意向を述べていた。

 ロイター通信は24日、イスラエル軍の戦車などがラファ中心部近くまで侵入したと報じた。住民によると、戦車はイスラエル軍とイスラム組織ハマスが戦っているラファ東部から西に向かっているという。ただ、中心部付近ではまだ戦闘は起きていない模様だ。イスラエルのガラント国防相は23日、ラファの地上部隊を増強し、空爆も強化する考えを示している。

 南アは、ガザ侵攻はジェノサイド(集団殺害)条約違反にあたるとして、ICJにイスラエルを提訴し、今年1月から審理が続く。ICJはこれまでイスラエルに対して、ガザでのジェノサイドの防止や人道状況改善などを求める暫定措置命令を2度出している。【エルサレム松岡大地】

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