フランスのマクロン大統領は23日、選挙制度改革を巡り暴動が起きた南太平洋の特別自治体ニューカレドニアを訪れ、改革を強制的に進めない意向を表明した。島の将来を巡り対立する独立派と親政府派などの協議に基づく合意を促した。
暴動は13日、ニューカレドニアの地方選挙の投票権を拡大する仏憲法改正案に反対する独立派住民のデモをきっかけに拡大した。憲兵2人を含む6人が死亡し、数百人が負傷した。改正案は15日、仏国民議会(下院)で可決された。今後、上下両院の合同会議の承認を経て施行される手続きとなっている。
マクロン氏は暴動を受け23日、専用機で現地入りした。マクロン氏は制度改革の合法性を強調したうえで、「改革を強制的に進めないことを約束する」と明言。独立派代表、親政府派代表との会談後、事態を沈静化させ、島の将来について独立派、親政府派、経済団体を含めた「全体の合意に向け対話を再開する」ために数週間かける意向を表明した。また「合意は住民投票によるのが望ましい」と述べた。
15日に発令した非常事態宣言は、道路を封鎖するバリケードなどが取り除かれた段階で解除する方針を示した。
これまでニューカレドニアの地方選挙の投票権は、1998年以前から住む住民に認められていたが、憲法改正案は、現地に10年以上居住する住民に投票権を認める内容。先住民「カナク」系を中心とする独立派は、欧州系の投票者の増加で、地方選での勢力が弱まることを危惧した。【ブリュッセル宮川裕章】
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