米国のウッド国連次席大使は20日、ロシアが今月中旬に地球を周回する低軌道に投入した衛星は「新型の対宇宙兵器」の可能性があるとし、「米政府の衛星と同じ軌道に配備した」と指摘した。国連安全保障理事会の公開会合で明らかにした。
ウッド氏はロシアが今月16日に打ち上げた衛星は「（高度約2000キロまでの）低軌道で他の衛星を攻撃することができる対宇宙兵器の可能性があると評価している」と述べた。ウッド氏は2019年と22年にもロシアが「対宇宙システム」を低軌道に配備した可能性があるとも指摘した。
ロシアのネベンジャ国連大使は「ばかばかしい」と否定した。
安保理はこの日の会合で、宇宙においてあらゆる兵器の配備をしないよう求めるロシア提出の決議案を否決した。15理事国のうち賛成はロシアのほか中国やガイアナなど7カ国にとどまり、採択に必要な9カ国に届かなかった。米国、日本、英国、フランスなど7カ国が反対し、スイスは棄権した。
ウッド氏は決議案について「軍備管理を強化するどころか、宇宙空間における軍拡競争の防止に不利になる」と反対理由を語った。英国は「ロシアが核を搭載した新しい衛星を開発しているとの報告から注意をそらそうとする試みだ」と指摘した。
安保理では4月下旬、地球の周回軌道に核兵器や大量破壊兵器を配備することや宇宙兵器の開発禁止を求める日米主導の決議案が採決にかけられたが、ロシアが拒否権を行使して否決された。【ニューヨーク八田浩輔】
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