台湾ではあす、中国と距離を置く頼清徳氏が総統に就任します。中国は圧力を強める一方で、台湾から移住した人への優遇措置も行っています。実情を取材しました。
記者
「台湾総統府前では、あすの総統就任式のリハーサルが行われています」
あす、総統に就任するのは、蔡英文総統と同じく、中国と距離を置く民進党の頼清徳氏で、台中関係の緊張は続くものとみられます。
台湾の対岸にある中国福建省福州市。ここでテコンドー道場を経営する陳燕亭さんは、6年前に台湾から移住しました。自分の道場をもつのが夢でしたが、台湾で良い場所が見つからず、中国で道場を開きました。
台湾から中国に移住 陳燕亭さん
「いま二つの道場があって、80人くらいの子どもが通っています」
陳さんは道場を共同経営している友人と市内で暮らしています。
台湾から中国に移住 陳燕亭さん
「中国に来て成長できたと思います。市場は大きくて競争力も高いです。ここで働けば、今まで学べなかったことを学ぶことが出来ます」
ただ、台中関係の緊張が日常生活に影響することもあるといいます。
台湾から中国に移住 陳燕亭さん
「果物、魚が(輸入規制で)入ってきません」
中国政府は台湾の民進党政権を「独立勢力」と見なし、軍事面や貿易面などで圧力を強める一方で「経済・社会の融合的発展」を掲げ、「平和的統一」を目指す動きも続けています。
その一つが移住の促進です。2人が暮らすマンションは台湾からの移住者専用で、ある「優遇措置」が受けられるといいます。
台湾から中国に移住 陳燕亭さん
「家賃は相場の3分の1くらいです」
ほかにも、福州市では、18歳から45歳までの移住者は起業する際に補助金を受け取ることができます。
また、移住希望者に住居や仕事などを紹介するため、福建省をはじめ、中国各地に80か所近く設けられているのが「海峡両岸青年創業基地」です。この基地では、7年間で100人以上の支援を行ったということです。
ミン台家園台湾青年創新創業基地 李宛芯 執行長
「ここを通じて、より多くの台湾の若い人たちに福建省のことを知ってもらうことです」
福建省は台湾統一に向け、去年9月、移住者のための「モデル地区」を設置すると発表。
また、融和的な姿勢を示すためか、台湾をテーマにした商業エリアも省内に作りました。特産品や土産物を扱う免税店もありますが、日曜にもかかわらず、ほとんど客がいません。政府と市民の温度差も感じられました。
あすの就任式で、頼清徳新総統が中国との関係についてどのように発言するのか、注目されています。
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