ゼレンスキー大統領は7日、「もし米議会がウクライナを助けなければ、ウクライナは戦争に敗北する」とし、「もし、ウクライナがこの戦争に敗北すれば、他の国々が攻撃を受ける。これは事実だ」と語った。米CNNはこのゼレンスキー発言を、「これまでの最も厳しい警告である」と報じた。また、ゼレンスキー氏は3月28日に放送された米CBSテレビとのインタビューで、5月末から6月にかけて、ロシアによる大規模攻勢が開始される可能性を示唆していた。ウクライナ情報機関トップのブダノフ情報総局長は、ドイツ放送局「ARD」に、「春の終わりから初夏にかけてロシアが大攻勢を試みる可能性が高い」と語った。

米シンクタンク・戦争研究所は10日、ロシア軍がバフムト南西5キロの集落を制圧し、さらに西の集落に攻撃を続けていると指摘、ロシア軍がアウディイフカ南西11キロの集落を占拠した可能性が高いと分析した。ロシア軍は、東部要衝バフムトの西約10キロにあるチャシウ・ヤルの攻略を目指しており、ウクライナ軍が抗戦している。現地のウクライナ兵士は、「ロシアがチャシウ・ヤルを占領すれば、他の都市への扉が開くだろう」とロシアの狙いを指摘する。仏AFP通信は、「ロシアがチャシウ・ヤルの高地に強力な足場を築き、坂の下に位置する都市、クラマトルシク、スロビャンスクを狙える」とし、チャシウ・ヤルの地形上の重要性を報じた。

NATO欧州連合軍最高司令官も兼任するアメリカ欧州軍のカボリ司令官は4月10日、米下院で砲弾の使用量について証言した。カボリ司令官は、「現在、ロシア軍はウクライナ軍の5倍の砲弾を発射しているが、今後、数週間で10倍に拡大する」と砲弾枯渇の危機を指摘した。ウクライナで砲弾不足が深刻化する中、バルト三国のエストニアがウクライナに供与する砲弾などを調達する方法を新たに発見したことをエストニアメディアが報じた。エストニアのペフクル国防相は3月24日、「20億から30億ユーロ相当の砲弾やミサイルを購入できる国々を見つけた」と明らかにした。また、チェコのパベル大統領は2月のミュンヘン安全保障会議で「砲弾80万発を見つけた」と公表、その後、イタリアのメディアは3月末に匿名情報筋の話として、砲弾を更に追加して100万発分の取り引きを契約したと報じた。

米下院でウクライナ支援に関する法案を採決できない事態が続く中、岸田総理は11日、米議会の上下両院合同会議で演説を行った。ウクライナ支援強化の重要性を説く岸田総理の言葉に、立ち上がって拍手を送る様子が見られた。マーク・タカノ下院議員(民主党)は、「議場で多くの人が立ち上がって拍手したのはウクライナ支援の話をした時だった」と語る一方、ティム・バーチェット下院議員(共和党)は、「日本がウクライナを支援するのは結構だが我々には関係ない」と温度差が見られた。米下院では、ウクライナ支援の約600億ドルの追加予算案が暗礁に乗り上げ、共和党のジョンソン下院議長が採決を拒否している。

トランプ派の急先鋒として知られるマージョリー・テイラー・グリーン下院議員は3月末、ジョンソン議長が2024年度の予算を可決させたことに反発して、「解任決議」を提出し、今後、ウクライナ追加支援を審議すれば「解任決議の採決を求める」と警告を発していた。トランプ前大統領は12日、ジョンソン下院議長と会談し、会談後の記者会見で、トランプ氏は、「ウクライナへの支援を贈与ではなく、返済義務が生じる融資の形にするよう検討している」と明らかにした。

★ゲスト:山添博史(防衛省防衛研究所米欧ロシア研究室長)、小泉悠(東大先端研准教授)
★アンカー:杉田弘毅(共同通信特別編集委員)

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