4月12日に解禁された県内の日本版ライドシェア=横浜市西区で2024年4月、遠藤和行撮影

 タクシー不足を解消するため、一般ドライバーが自家用車に有料で客を乗せる「日本版ライドシェア」が神奈川県内で始まって12日で1カ月となった。解禁時に比べ、参入したタクシー会社は大幅に増えたものの、参入会社の中には「現状では、想像以上に需要が少ない」として先行きを懸念する声が上がっている。

 県内では横浜、川崎、横須賀、三浦の4市でタクシー不足の時間帯に限って解禁した。金、土、日曜の午前0~6時、午後4~8時が対象だ。

 関東運輸局によると、解禁当初の許可事業者は3社計5営業所だったが、10日現在で30社計39営業所に増えた。まだ、審査中の事業者もいるが、同運輸局は「大手を含めて申請準備が整った事業者が申請してきたが、落ち着いてきた」と説明する。

 解禁当初から運行している三和交通(横浜市)によると、4月12日から5月12日までの5週分計15日間で164件の注文があった。時間帯別では、午前0~6時が93件、午後4~8時が71件。曜日別で注文が多いのは「土曜午前」で、4月13日の28件が最多だった。

 15日間に勤務した一般ドライバーは15人で、心配していた客とのトラブルや事故はゼロ。一般ドライバーの応募は増えているという。

 同社の担当者は開始1カ月の利用状況について「開始前の利用見込みと比べて、想像以上に少ない」と話す。主な原因として、2024年問題で残業時間が規制された運送業界などさまざまな業界からタクシー運転手の収入を魅力に感じる人の転職が増え、稼働するタクシー数が増えていることを挙げる。

 同社の担当者は「東京での日本版ライドシェアはある程度、需要があるが、県内は利用者が少ない時も多々あり、このままでは供給過多で、必要なくなるのではないか」と不安視する。

 このほか、解禁時から県内で運行を始めている日本交通横浜(横浜市)は「利用状況について公表を控えている」としている。【遠藤和行】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。