食品スーパーのベルク(埼玉県鶴ケ島市)は、座ったままレジ打ち作業ができるよう一部店舗のレジカウンター内に椅子の設置を始めた。従業員の身体的・心理的負担を軽減して、より良い接客につなげるのが狙い。顧客や従業員の反応もおおむね前向きといい、導入店舗を順次拡大する方針。
2023年12月に「すねおり店」(同市)、24年2月に「フォルテ津田沼店」(千葉県習志野市)で試行を始め、4月17日オープンの「中之条店」(群馬県中之条町)で本格導入した。椅子は高さの調節が可能で寄りかかって使うこともできる安定感のあるタイプで、3店舗の全有人レジに置かれている。
ベルクによると、働き方や働く人の価値観が変わる中、本社のレジ部門責任者が、立ったままレジを打つことに違和感を感じたのがきっかけの一つという。海外では座ってレジ作業をするケースも多く、従業員の負担を減らし接客力の向上が期待できると導入することにした。
従業員からは「腰痛があるので少し楽になった」「体が疲れにくくなった」「顧客がいない時にひと休みできる」などの声があった。顧客からも「レジのスピードが同じなら座った方がよい」「立っていることが難しい人の活躍の機会が増える」と好意的な声が寄せられているという。
ベルクは23年9月に店舗従業員の髪色やアクセサリーなどの身だしなみ基準を緩和するなど、働きやすい環境を整備し人材の確保や定着につなげる取り組みを進めており、レジへの椅子設置もその一環。今後、中之条店で顧客の反応やレジ担当者の声を集め、導入店舗の拡大や業務の改善につなげる。
ベルクでは「座って働くという新しい選択肢を取り入れ、働く人の可能性を広げるとともに、よりよいサービスを提供するよう努める」としている。【増田博樹】
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