富士山を望む絶景を巡り、今度は「富士山にのぼる階段」がSNSで人気に。ところが迷惑行為が続出し、地元が困惑しています。

■“SNS人気”で「行くべき場所」

 外国人観光客が列を成して待つのは「富士山に登る階段」とSNSで話題の景色です。富士山をバックに、階段でジャンプ。雲一つない青空に映える「富士山」と「階段」のコラボ。

韓国から来た人
「写真を撮るために絶対に行くべき場所の一つ。ドリームブリッジ。『夢の橋』と呼ばれているんですよね」

 静岡県富士市を走る国道139号、その名も「富士山 夢の大橋」です。橋の歩道につながる階段の先に雄大な富士山がそびえ立つ、この構図が“SNS映え”すると外国人客に大人気。

フランスから来た人
「SNSで見て知りました。動画がたくさん出ています。富士山を背景にしていくつかの場所から撮っている」

■車道で堂々ポーズ“迷惑行為”も

 ところが、迷惑行為も相次いでいます。

 車が行き交う車道の真ん中で写真を撮る外国人観光客たち。女性がポーズを取ると、男性は車が走る道に足を踏み出しながら左側にある富士山を背景に撮影しています。動画撮影でしょうか、踊り始めます。

 スーツケースを引いて車道を歩く人も。手を離した瞬間、スーツケースが坂道を下ります。

 車道を横切って歩道側に戻ってきます。なぜ車道に出て撮影するのか、外国人カップルに聞くと…。

■車道に出て撮影“SNS”映え求め

ベトナムから来た人
「(Q.あそこは車道。車が走る場所だから駄目なんですよ)分かりますけど写真撮ってきれいだから」

 女性のグループは日傘を差しながら橋の車道を歩いて登ってきます。

ベトナムから来た人
「(Q.ここは車道です。歩いてはいけません。車が通るから危ない)そうですか、分からないから」

 歩道と車道を隔てる壁には「車道横断禁止」の看板が設置されています。

ベトナムから来た人
「渡るのは大丈夫だと思ってました」

警察
「道路に出ないで下さい」

 パトカーが通り過ぎると、その直後、外国人観光客が再び車道側に出て撮影を始めます。

警察
「道路に出るのはやめて下さい」

 「富士山 夢の大橋」の国道を管理する国土交通省は車道に立ち入るのは危険なため対策を検討中としています。

■“無断駐車”に地元困惑 看板設置も

 レンタカーなどで訪れた外国人客が駐車禁止の路上や住宅の敷地に無断で止めてしまうケースも。

富士市 藤間区 松本政利区長
「コーンが置いてある所に車を止めていた」

 富士市は注意喚起の看板を設置するなど対策を強化しています。

富士市 交流観光課 松村岳典課長
「突如としてSNSで拡散したことによって外国人がたくさん集まる場所になった。正直、我々も本当に困惑している」

■SNS人気で“観光案内所”設置

 一方、山梨県にある「富士山の絶景スポット」では外国人客への対策が功を奏しています。

 「富士山」と「商店街」のコラボレーションが人気の交差点では、警備員を配置して外国人観光客を誘導しています。さらに、交差点のすぐ横で観光案内所をオープン。周辺のレストランなどを紹介し、地域の経済を活性化させる狙いです。

富士吉田市富士山課 勝俣美香課長
「約1カ月で5000人弱の人が案内所に来て対応。『ランチがどこ?』『トイレがどこ?』あとは交通案内。きちんと対応できてお客のストレスも減っている」

■富士山7月から“予約制”

 山梨県側の吉田ルートで今年7月から5合目の登山口にゲートが設けられ、1人あたり2000円の通行料がかかります。一日4000人までの人数制限も。

埼玉から来た人(80代)
「今、鎌倉の寺に行ったってちょっと拝むだけで500円、1000円する。それに比べたら安い」

千葉から来た人
「それで富士山の自然が守られるなら」

スイスから来た人
「2000円は頂上まで行くのにそれほど高くないと思います」
「ただ、人数制限についてはもっと議論する余地があるでしょう」

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