「いい電」の愛称で親しまれている福島交通飯坂線が13日、開業100周年を迎えた。かつて親しまれた赤とベージュを基調とした車体をイメージした記念列車の運行が始まり、福島市の福島駅では大勢の市民や鉄道ファンが新車両を出迎え、節目の日を祝福した。
飯坂線は1924(大正13)年4月13日、福島―飯坂間の計13駅8・9キロで開業した。飯坂駅は今の花水坂駅にあたり、27(昭和2)年に飯坂温泉駅まで延伸。太平洋戦争や東日本大震災を乗り越え、地域住民や観光客の移動手段として活躍している。
記念列車は、91年まで運行された5000系をイメージしたレトロなデザイン。いい電と沿線地域の歴史、無限の可能性を表現した特製のヘッドマークも掲げられた。1日に25往復程度、運行されるという。
この日、福島駅では記念列車の出迎えセレモニーが開かれ、車両デザインを担当したテクニカルアドバイザーの小松大希さんや、福島駅と飯坂温泉駅で流れる新しい電車到着のアナウンスを担当したフリーアナウンサーの久野知美さんが参加。小松さんは「飯坂線がいかに地域の方々に愛され、大切にされているかを実感した。今後も一緒に盛り上げていきたい」、久野さんは「アナウンスを聞いた時にわくわくするように表現した。飯坂線が良い形で存続できるようPRしていきたい」と話した。
4歳の長女と福島駅を訪れた伊達市の会社員、松岡真也さん(37)は「幼いころに見ていたような色合いで懐かしかった。車窓から見える桃の花や温泉街の風景がお気に入り。この先も走り続けてほしい」と期待した。
福島交通の三浦賢一・鉄道部長は「地域の支えがあって100周年を迎えられた。引き続き安心安全で利便性の高い交通機関であるよう努めていく」と決意を新たにしていた。
同社は飯坂温泉観光協会と共同で、温泉旅館の宿泊クーポン券などがあたるキャンペーンを21日まで実施中。「いい電1日フリーきっぷ」(大人800円)など5種類の乗車券で飯坂線を利用し、観光協会で乗車券を見せるとくじ引きができる。【松本ゆう雅】
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