町そのものがキャンパスです――。高知県黒潮町と大阪経済大学は、包括的な連携協定を締結した。南海トラフ巨大地震に備えた取り組みや、過疎化と高齢化が進む地域の振興策について、学生と住民が一緒に考えていく。2024年4月に同大に新設された国際共創学部の学生のうち、希望者が2年時に町に1週間滞在してフィールドワークをすることが決まっており、今後、さまざまな連携策を検討していくという。
内閣府が12年3月に公表したマグニチュード9クラスの南海トラフ巨大地震の被害想定によると、高知県西南部に位置する黒潮町は全国で最も高い34・4メートルの津波が襲うとされる。これを受け、同町は「被害者ゼロ」を目指して町ぐるみで先進的な防災対策に取り組んできた。防災教育と観光を組み合わせた「防災ツーリズム」にも力を入れている。
2日の締結式終了後、同町の松本敏郎町長は「学生が1週間生活してくれることで、観光事業への貢献はもちろん、連携をきっかけに新しい産業が生まれてくる可能性もある」と地域活性化へ期待を寄せた。大阪経済大の山本俊一郎学長は「地域の現場が抱える問題をどうすれば解決できるのか。黒潮町のさまざまな人たちと交流することで、学生たちに新しい価値観、考え方を生み出してもらいたい」と話した。【前川雅俊】
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