2日午後2時40分ごろ、北茨城市であった国の重要無形民俗文化財「常陸大津の御船祭」で、祭事船(長さ約14メートル、幅約3メートル、重さ約7トン)がバランスを崩して見物客にぶつかり、引き手2人と見物客2人の計4人が重軽傷を負った。
高萩署などによると、船を綱で引いて街中を練り歩く最中、同市大津町の県道で進路の右側にそれた。見物していた市内の男性(37)と妻(37)が民家のブロック塀と船の間に体を挟まれ、いずれも肋骨(ろっこつ)を折る重傷。船を揺らして進めていた引き手の44歳と48歳の男性も落ちて軽傷を負った。同署が事故の原因を調べている。
主催する「常陸大津の御船祭保存会」や市によると、2日は計画通り、近くの諏訪神社まで船を引いた。3日の「本祭り」も2日午後6時時点では開催する予定という。保存会の担当者は「過去にもけが人は出たことはあるが、祭りが中止になったことは聞いたことがない」としている。
御船祭は豊漁や海上安全などを祈願する佐波波地祗(さわわちぎ)神社の祭礼で、5年に1度、5月2、3日に開催している。みこしや神官、おはやしなど50人ほどを乗せた祭事船を、数百人が陸上で引きまわす本祭りが最大の見どころ。船を陸上で引く祭りは全国的にも珍しく、全国から観光客が集まる。23年には国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産の「山・鉾(ほこ)・屋台行事」への追加登録を国が提案すると決まった。【寺田剛、西夏生】
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