栃木県那須町の河川敷で夫婦の遺体が見つかった事件で、死体損壊容疑で逮捕された指示役とみられる男性が「ある人物から千数百万円を受け取った」と供述していることが捜査関係者への取材で判明した。警視庁と県警の合同捜査本部は、より上位の指示役から多額の報酬が支払われ、容疑者グループで分配されたとみている。
事件では指示役とされる住所・職業不詳の佐々木光容疑者(28)ら4人が死体損壊容疑で逮捕された。
捜査関係者によると、佐々木容疑者は「上から遺体の処理を指示された。千数百万円を受け取り、仲介役に渡した」と供述しているという。一方で「自分は報酬を受け取っていない」と説明。ただ、4月28日に身柄を確保された際には、数百万円を所持していた。捜査本部は現金の流れを慎重に調べている。
仲介役とみられる建設業の平山綾拳(りょうけん)容疑者(25)は「佐々木容疑者から報酬を受け取った」と供述しているといい、関係先から1000万円近い現金が見つかった。
また、実行役とみられる住所・職業不詳の姜光紀(カングァンギ)(20)と、元俳優の若山耀人(きらと)(20)両容疑者はともに「遺体を処理した後、数百万円を受け取った」と供述しているという。
姜容疑者は事件当日の16日夕方、死亡した会社役員の宝島龍太郎さん(55)と妻幸子さん(56)=東京都千代田区=を運んだとされる乗用車を返却するため、平山容疑者の自宅方面に向かう様子が防犯カメラに映っていた。この時に平山容疑者が姜、若山両容疑者の報酬を分配したとみられる。
姜、若山両容疑者はその後、大阪府に移動し、ホテルに数日間滞在していた。捜査本部は30日に姜容疑者を神奈川県内、若山容疑者を千葉県内で確保しており、両容疑者は大阪を離れた後、別々に行動していたとみられる。確保時には、それぞれ数万~数十万円しか所持しておらず、報酬を逃走資金や遊興費に充てた可能性がある。【岩崎歩、菅健吾、朝比奈由佳】
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