栃木県那須町の河川敷で遺体で見つかった会社役員の宝島龍太郎さん(55)と妻の幸子さん(56)=東京都千代田区。夫婦は東京・上野のアメ横近くの繁華街で、焼き肉店など20店舗近くの飲食店を構える「やり手経営者」として知られていた。
「いつも笑顔で、仲が良さそうだった。お店では熱心に従業員を指導していた」。30代の女性は夫婦の印象をこう振り返る。仕事帰りに顔を会わせると、2人は決まって、「お疲れさま」と声を掛けてきたという。
経営する店舗では宝島さんが「社長」、幸子さんが「ママ」と呼ばれ、従業員にも慕われていた。ある店舗で働いていた男性は「社長は毎日欠かさず見回りに来て、掃除も率先してやっていた。突然亡くなったと聞かされ、驚いている」と話す。系列店の女性も「私のように日本語が得意じゃない外国人も多く働いていたけれど、優しく教えてくれた」と悼んだ。
関係者によると、宝島さん夫婦はアメ横周辺で事業を拡大し、新型コロナウイルス禍で飲食業が苦境にあえいだ最近1~2年も10店舗以上を新規で開店したという。地元では、経営する店が並ぶ通りを「宝島ロード」と呼ぶ人もいた。
一方、近隣の飲食店とは客の呼び込みなどを巡ってトラブルがあったという。地元の男性店主は「数年前から、宝島さんの店と他の店の従業員が、大きな声で怒鳴り合うのを見かけるようになった」と明かす。
夫婦を知る40代男性は「事業を急速に拡大していたが、一つの店を構えるには初期投資だけで数千万円はかかる。どうやって費用を捻出していたのだろうか」と首をかしげた。【菅健吾、朝比奈由佳】
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