東京から飛行機で50分の距離にある三宅島で近年、クジラの目撃情報が相次いでいます。なぜ見られるようになったのか。番組が現地を取材しました。
■三宅島の異変 クジラ目撃情報が寄せられる
三宅島 この記事の写真港を出発して、わずか数分。現れたのは巨大なクジラです。
東京から飛行機で50分。伊豆諸島の三宅島は、様々な魚や天然記念物の野鳥に加え、メガネ岩や新鼻新山など独特な火山地形を楽しめる自然豊かな島です。
去年、大噴火から22年ぶりに入山が解禁された雄山で体験登山が行われ、観光地として注目されています。その三宅島で今、ある異変が起きています。
観光地として注目 島民「いる時には300メートルとか、400メートルぐらいのところで潮吹いたり、ダイビングしたり」 島民
「海岸沿いのところ、よくドライブするんですけど、運転しながら見ていると、たまにプシュッと、しぶきが上がったりしているねみたいな感じで」
島の周辺海域で、これまで見たことのないクジラが目撃されることが増えているのです。
三宅島観光協会によると、目撃情報はほぼ毎日寄せられているといいます。
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■ザトウクジラ カメラが捉えた決定的瞬間■ザトウクジラ カメラが捉えた決定的瞬間
これまで見たことのないクジラが増加本当に今、三宅島でクジラを見ることができるのでしょうか。取材班は、観光協会の調査船に乗せてもらうことに。指揮を執るのは、三宅島で長年、自然ガイドとして活動している「earth wind&」の菊地ひとみさんです。
菊地さん「(Q.どちらへ向かいますか?)ちょっと北側の方に向かいます」
取材したのは先月で、クジラは島の北側で目撃されることが多いといいます。周りの様子を見ながら、北部へ向かいます。すると数分後、早速、クジラを発見しました。
菊地さん「1時方向!ブリーチ。いたいたいた!」
近くに行き、もう一度現れるのを待ちます。
菊地さん「いないですね。どこへ行ったんだろうか」 クジラが海面からジャンプする「ブリーチング」
3年前に三宅島周辺で撮影された、クジラが海面からジャンプする「ブリーチング」。これが見えたといいます。
菊地さん「結構大きかったですよね。高く。体全部出したんじゃないかというぐらい。単発でしたね」 体長およそ15メートル 最大で40トン
去年、菊地さんが撮影した決定的瞬間です。ザトウクジラは、きれいに体の半分以上を海面に出しています。
ザトウクジラは体長およそ15メートル、体重は最大で40トンにもなるヒゲクジラの仲間です。他のクジラと比べて、大きな胸ビレでジャンプするため、人気があります。
別の地点に向かいました。
「6時方向!6時です」 調査員
「島側」 菊地さん
「この間ですか?」 調査員
「近いです」 菊地さん
「近いそうです」
次の瞬間、潮を吹いているのが分かります。その後、もう一度潮を吹くクジラ。一瞬ですが、背中も見せてくれました。今回発見したのは、2頭ともザトウクジラでした。
菊地さん「今、三宅沿岸で70個体以上の尾びれの個体識別用の写真が撮れていまして、今後も継続して調査を続けていきたい」
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■東京から近い三宅島でホエールウォッチング■東京から近い三宅島でホエールウォッチング
360度の眺望が楽しめる円形の島円形になっている三宅島では、島の360度、陸上からでもホエールウォッチングが楽しめるといいます。
観光客「たまに見る」
「(Q.結構、近くまで来る?)近いな。そこら辺かな」 観光客
「見たいね」
「ぜひ見たいよね。写真撮って」 観光客
「あんまり日本で(クジラが見える)スポット知らなかったので。三宅島で、東京から近い場所で見られるのはすごい」 なぜ三宅島?
日本では、小笠原諸島や奄美大島まで行かなければ体験できないホエールウォッチング。なぜ、東京から近い三宅島でも見られるようになったのでしょうか。
小笠原に似た環境 日本鯨類研究所顧問 加藤秀弘さん「一番大きな理由は個体数の増加。小笠原の繁殖場がいっぱいになってきて、小笠原に似た環境の八丈島や三宅島にも来ている。八丈島は間違いなく繁殖しているが、三宅島はこれから。ただ通っているだけか、通って長くいるだけか。それとも、本格的に三宅島で繁殖するかというのは、これからの問題で、ここはよく調査していきたい」 三宅島周辺でのクジラ観察は10月から4月ごろまで
三宅島の周辺でクジラが見られるのは、10月から今月末ごろまで。「美しい自然景観に加えて、観光地としての価値がより高まる」と地元は期待を寄せています。
三宅島観光協会 事務局長 谷井重夫さん「この冬場、特にお客様が少なくなるこの時期に、一つの観光コンテンツとして、このクジラを陸上からホエールウォッチング、観察するというところを楽しんでいただければ、観光資源として応用できればと思っている」
(「グッド!モーニング」2024年4月10日放送分より)
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