使用済み紙おむつも原料にした「志布志・大崎ロール」=大崎町SDGs推進協議会提供

 使用済み紙おむつを原料の一部に使った世界初というトイレットペーパーが開発された。鹿児島県大隅地方と宮崎県南部の計7店舗で販売されており、関係者は環境保護につながる取り組みとして期待を寄せている。

 鹿児島県志布志市と大崎町が民間企業と協力して開発した。両市町はごみを共同処理しており、今年4月から回収品目を細分化することで紙おむつを資源化。尿取りパッド、ウエットティッシュなどを含め4~9月で98トンを確保し、トイレットペーパー製造に生かした。

 工程はこうだ。まずユニ・チャーム(東京都港区)の技術を生かして殺菌、脱臭、漂白し、新品のパルプに近づける。そしてポピー製紙福陽工場(福岡県八女市)がこれを引き取り、古紙に数%混ぜた形でリサイクルトイレットペーパーに仕上げる。2カ月で約3万ロールを製造した。

 「志布志・大崎ロール」として8月、12ロール入り約400円で発売。志布志市のシンボルカラーとなっている水色、緑、オレンジと大崎町の青をグラデーションにしたデザインをパッケージに採用している。

 事業を進める大崎町SDGs推進協議会の大保拓弥・広報担当は「地域資源を再利用しながら持続可能な社会を目指すエコ商品を手に取って」と呼び掛ける。ポピー製紙の吉田聡・営業部主任は「ペーパーレス化や人口減少で古紙の減少も見込まれる中、原料確保の多様化にもつながる」と期待した。【梅山崇】

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