質問に答えるJR東日本の清野智顧問=東京都渋谷区で2024年4月25日、内藤絵美撮影

 長年にわたって鉄道事業に携わり、2011年3月の東日本大震災発生時には社長として新幹線の復旧などの陣頭指揮を執った。受章に「極めて光栄なこと。職場を含め、いろんな関係者の支えがあったことを感謝したい」と喜びを語る。

 地震発生時、東北新幹線は仙台駅を出た直後。乗客は全員無事だったものの、駅ではホームの天井板が崩れ落ちた。2、3分早ければ客に甚大な被害が出たかもしれない。「(発生時刻の)午後2時46分は、我々にとっては神様が選んでくれた時間だった」

 鉄道人生で印象に残るのは、JR東日本の初代会長で三井造船会長などを務めた山下勇氏(94年死去)の「とにかく神様に叱られないようにやっていこう」という言葉だ。安全のために「安全に到達点はない。無限の努力をやらなければならない」。JR東日本が掲げる「究極の安全」の理念は、社員に連綿と受け継がれている。

 15年に東北観光推進機構の会長に就任し、18年からは政府観光局理事長を務めた。日本は風光明媚(めいび)な観光地も多いが、点在して周遊しにくい課題もある。関連業界や自治体には「地元プラスアルファという意識で連携してほしい」。

 18年から日本野球連盟会長。「社会人野球は地域への思いと選手の必死さ、ひたむきさが魅力」と醍醐味(だいごみ)を語る。【佐久間一輝】

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