GWになっても新生活が始められない、そんな人も出てきているようです。背景にあるのは2024年問題。一体、何が起きているのか追跡しました。
■「今まで経験ない」引っ越し困難者なぜ続出
(自宅で学習塾を始める 新川正語さん(47))「この部屋で学習塾をやる予定なんですが、今のところ机も椅子もない状況です」
自宅の2階で学習塾を始める新川さん。しかし…その部屋には何も物がありません。
(新川正語さん)「引っ越しシーズン、もうほぼ埋まっちゃって、そもそも便がもうありませんっていうことだったので」
本来であれば、3月末に横浜からの引っ越しを終えて、4月初めには、宮崎で子どもたちを迎え入れていたはずでした。
(新川正語さん)「生徒さんに申し訳ない」
結局、当初の予定より1カ月以上も遅れ、5月のGW明けに学習塾を始めるということです。
今月からスタートしたトラックドライバーの時間外労働の規制が強化される物流の「2024年問題」。引越業界ではすでに打撃が…
(アクティブ感動引越センター 笠原大岳社長)「今シーズンに関しては、全台出払っている状態が連日続いております」
こちらの引越会社では、10台あるトラックが常にフル稼働。これまで、3月中旬から4月上旬が繁忙期でしたが、今年は1カ月後ろにずれ込み、5月のGW明けまで依頼が集中しているというのです。
(アクティブ感動引越センター 笠原大岳社長)「2024年問題もありますので、労働時間の制限が各社様かかっていて(仕事を)受けきれてないんじゃないかと感じております。今まで経験ないぐらいの需要が高まってますね」
今月調査した最新のデータでは、9割を超える会社が引っ越しを断わったことがあると回答。2024年問題が主な理由だとしています。こちらの会社では、多くの引っ越しをこなすことで売り上げを維持してきましたが…
(アクティブ感動引越センター 笠原大岳社長)「時間の短縮に伴って受けきれる件数は少なくなりますので、ターゲットを絞ってより良いサービスを提供する代わりに、1件あたりの受注単価を向上させていって労働時間も短縮をする」
■イチゴ“東西ライバル争い”不利に?農家の不安
2024年問題は、“鮮度が命”のブランドイチゴにも…「あまおう」の産地・福岡県。
(おおきベリー 上原基揮社長)「送料が違うってなるとそのままその価格がお客様に反映されることになるし、ブランド価値が下がっていかないか…」
「あまおう」の福岡、「とちおとめ」の栃木という東西の二大産地。2024年問題で送料が上がり、大消費地・東京から遠い「あまおう」に不利に働くのではと、危惧していました。
(おおきベリー 上原基揮社長)「イチゴというと栃木県が日本で一番の産地だと思うんですが、その栃木県のイチゴと福岡県から運ばれてくるイチゴ。運賃込みで商品の価格になってしまうので、距離が遠いところに運べば運ぶほど、競争力が失われていくんじゃないかということは心配しています」
完熟してから収穫するというこちらの農家。およそ半数が関東からの注文ですが、今月からある変化があったといいます。
(武下農園 武下浩紹社長)「半日遅れるように、遅延するようになりました」
関東への配送は、これまで翌日の夜、届いていましたが、今月からは、翌々日の午前中と半日遅くなったといいます。
(武下農園 武下浩紹社長)「今までは木曜日の収穫分で金曜日の夜着いていたんですよ。それが水曜日に出荷しなければいけなくなるんですよ。一日分の鮮度の違いはあります。どうしても完熟収穫しているから。けれどもそれを常識にしていくしかないですよね」
■密着1000km“鮮度が命”マダイ輸送に異変
(佐々木一真アナウンサー)「今こちらで餌やりが始まりました。タイが跳ねていますね」
養殖マダイの生産量、全国一位の愛媛県。こちらの生け簀では、60万匹のマダイが大切に育てられています。「2024年問題」の影響は、魚の流通にも。
(佐々木一真アナウンサー)「今、トラックが養殖場に到着しました。これからマダイの積み込みを行います」
使用されるのは“活魚運搬車”。荷台が大きな水槽になっているトラックです。
(佐々木一真アナウンサー)「つい先ほどまで海で泳いでいたタイが今、輸送のための専用のケースに詰められています。これらのタイすべて生きたまま東京に届けられます」
マダイは動いて傷がつかないようにケースの中で固定。生け簀からトラックに次々と移し替えられていきます。
(佐々木一真アナウンサー)「トラックが動き出しました。愛媛から東京に向かい出発です」
およそ1000kmのロングドライブ。いざ東京に向かい始めたものの愛媛県を出る前に…
(佐々木一真アナウンサー)「ここでトラックがサービスエリアへ入ります。まもなく運転時間が4時間になるということで、ここで休憩を取るようです」
以前は大体2カ所で、トイレ休憩などを取っていましたが、今月からは4時間運転するごとに、30分の休憩が義務付けられ、今は4カ所で休みを取る必要があると言います。
(中浩運輸 活魚車ドライバー 土居誠二さん)「ちょっと水温上がってきてるので」
気になるのはマダイの状態です。時間が経つほど、死んでしまうリスクは増すと言います。
(土居誠二さん)「早く行きたいっていうのが心情ではありますけど、(ルールを)守るしかないですね」
その後、瀬戸大橋を渡って、四国から本州へ。2回目の休憩は兵庫県で。
(土居誠二さん)「ここで休憩に入ります」
3回目の休憩は、愛知県で取りました。そして、最後の4回目の休憩のため、静岡県のサービスエリアに入りましたが…
(土居誠二さん)「いっぱいですね」
一つ先にある神奈川県のパーキングエリアも。
(土居誠二さん)「深夜割の時間待ちだとか(2024年問題で)4時間で30分の休憩だとか、とまれないのが現状ですよね」
さらに先のサービスエリアに行って、ようやく…
(土居誠二さん)「あっ、あった、あった。最後の休憩です」
どうにか4回目の休憩をとって、再び東京を目指します。
「六本木ヒルズですね」
愛媛県の養殖場を出発してから、15時間半。以前に比べて、2時間半遅れで、東京の物流拠点に到着しました。
(土居誠二さん)「大丈夫ですね 魚は元気ですね。良い状態のまま来ています。ちょっとホッとしてますね」
今月からは、ドライバーの拘束時間の短縮も必要で、帰りはトラックごとフェリーにのせる、休憩しながら愛媛に戻るように対策しています。もちろん時間もお金も余計にかかることに。
(中浩運輸 中村浩之社長)「正直20%ぐらいは上がりますね、経費は。運賃が追いついてない部分があるので、リスクばっかり背負うのであれば、従業員にも還元できなくなれば、努力にもね、限界がくれば、正直廃業も考えなきゃいけないなる場面もきますよね」
4月28日『サンデーステーション』より
▶「サンデーステーション」公式ホームページ
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