秋も深まり、全国的に紅葉シーズンが本格化するなか、今ブームになっている登山スポットがある。キーワードは“低い”。その魅力を取材した。
■中高年層中心に大人気
昭和記念公園の中にある日本庭園 この記事の写真19日、東京都立川市の昭和記念公園の中にある日本庭園の紅葉は、真っ赤に色付いていた。
秋も深まり、全国的に紅葉シーズンが到来。そんななか、多くの人が足を運ぶのが山だ。登山道は、多くの人で渋滞。さらに、山頂の休憩スポットにも人だかりができている。
登山客「この年齢になると、登りたくなるんですよ。なぜか」 今、ブームとなっているのが「低山」
なかでも今、多くの人が魅了されているのが低山。標高があまり高くない山を登ることが、中高年を中心にブームになっている。
低山を特集した雑誌書店を覗いてみると、低山を特集している雑誌も「日本百低山」と題し、全国津々浦々、おすすめの低山を紹介している。でも、なぜ今低山ブームとなっているのか?
山と渓谷 五十嵐雅人編集長 山と渓谷 五十嵐雅人編集長「コロナで県境をまたぐ行動の制限があり、出掛けられなくなって、近場の山に行き始めた。高山に出掛けていた人も低山に出るし、今までそういったことに興味がなかった人も入ってきた」
次のページは
■写真家と共に 低山登山に挑戦■写真家と共に 低山登山に挑戦
多くの登山客そんな低山は今、どんな状況なのか。番組が向かったのは、神奈川県内にあるとある山。時刻は午前9時、すでに多くの登山客の姿がある。
神奈川県伊勢原市「大山」伊勢原市にある「大山」。標高1252メートル、山頂からは絶景が望めるという。
低山フォトグラファー・渡邉明博さんこの山を案内してくれるのが、多くの低山を登り写真に収める渡邉明博さん(67)だ。
ケーブルカー早速、登山開始。多くの人が行列をなし、待っていたのはケーブルカーだ。1200メートル以上ある大山だが、約6分ケーブルカーに乗ると、標高695メートルまで行くことができる。
実は、低山にはケーブルカーやロープウェーがある山が多く、登山初心者でも比較的楽に登ることができるのだ。
山頂までの登山時間は約2時間大山のケーブルカーを降りると、頂上まではおよそ600メートル・2時間ほどの道のり。
登山道は整備されている登山道は、石積みの階段などで整備され、比較的歩きやすくなっていた。低山では、登山道が整備されていることが多く、中高年の低山ブームを支えているという。
しばらく歩くと…。
登山客で渋滞していた 低山フォトグラファー 渡邉明博さん「渋滞だね。すごいです。何回も来ているけど、これだけの人は初めてだね」
気長に歩くこと30分。
渡邉さん「やっぱり立派だねぇ」 樹齢600年の夫婦杉
樹齢、およそ600年。仲良く並んでいることから「夫婦杉」と呼ばれる大木がお出迎え。
低山には、歴史ある自然や遺跡、神社仏閣がある場所も多く、登山の最中に楽しむことができるのも大きな魅力の一つだ。
ここで、低山フォトグラファーの渡邊さんが何かを見つけた。
渡邉さん「あっ、これなんだろう?」 小さな赤い花
偶然出会った小さな赤い花。
渡邉さん「恐らく秋の花だと思うんだけど、ちょっと珍しいので、抑えといて後で調べる。秋もいろんな花が実は足元にいっぱいあったり、景色だけじゃなくていろんな命がある。せっかくですから、そういう楽しみもあっていいんじゃないですか?」
こんな小さな発見も、低山の魅力の一つかもしれない。
次のページは
■低山の魅力 富士の絶景追い続ける思い■低山の魅力 富士の絶景追い続ける思い
そして、登山開始から2時間30分。
渡邉さん「よし、山頂に着いたよ」 大山の眺望
疲労の後にやってくる達成感。そして、癒しは眺望だ。大山の山頂からは、伊勢原、相模湾。空気が澄んでいれば、江の島や三浦半島まで見渡せるという。
さらに、渡邊さんの一推しポイントが…。
渡邉さん「本当はここ、ここが超穴場的スポットです」
なんと、富士山が見えるというのだが…。
この日は富士山は見られなかった 渡邉さん「ガスってるねぇ…」
残念、この日は富士山を見ることは出来なかった。しかし…。
渡邉さん「先週、撮った富士山をお見せしましょう」
なんと渡邊さんは10日前、1人で大山に来ていたという。
登山者「ああ、いいですねぇ」
「すごいじゃない」
「すごい」
「きれい」
「これはすごいね」 渡邉さんが撮影した富士山
登山客も驚いた富士山がこれだ。
午前3時から山に登り、山頂で日の出を待ち撮影した1枚。朝焼けに染まる富士山が雲海から顔をのぞかせている。
実は、渡邉さんは低山から見える富士山を撮影する写真家でもあるのだ。
鋸山から撮影した写真千葉県にある標高329メートルの鋸山から撮影した写真。東京湾を挟み、三浦半島を従えた富士山はまさに絶景。
「どの角度から見ても同じ富士山はない」 渡邉さん「私にとって富士山とは、恋人ですね。一言で言うと。大好き、大好きでたまらない。どの角度から見ても同じ富士山はない。そういう恋人を、(低山から)ずっと追い続けています」
低山の楽しみ方は、人それぞれ。登山客に聞いてみると…。
登山者(80代)「(Q.山に登って、良かったこと苦しかったことはありますか?)苦しくてもさ、忘れちゃうね。また行こうと思っちゃうね。好きだから」 登山者
「(下山後に)温泉とビールが飲めるところ、高尾山もそうなんですけど。それが魅力かな」 低山の魅力
低山登山は、日帰りが基本。午前中に山登りをして、午後には麓で温泉につかる。そんな気軽さも魅力だ。
そして、低山ならではの最大の特徴について、渡邊さんは次のように話した。
「景色を見ているだけで飽きない」 渡邉さん「人の営みが感じられるのが一番の魅力だと思います。低山であるからこそ、下界がみえるんです。あそこに住んでる人はどう言う人なんだろうか、あの公園にいるご家族はどんな家族なんだろうかとか、想像がふくらんで楽しくて仕方ない。だから、こうやって、ずっと景色を見ているだけで飽きない。そういうことが大きな魅力なのではないですかね」
(「大下容子ワイド!スクランブル」2024年11月20日放送分より)
この記事の写真を見る鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。