「山村みるくがっこう外宮前店」の店頭に並ぶ瓶入り乳製品=伊勢市本町で2024年11月13日、小沢由紀撮影

 お風呂上がり、腰に手を当てて瓶牛乳を飲もう――。100年以上にわたって瓶入り牛乳を作り続けている三重県伊勢市大世古3の老舗乳製品メーカー「山村乳業」(山村豊裕社長)が11月26日を「ビン牛乳の日」に制定するよう一般社団法人日本記念日協会に申請し、このほど認定を受けた。今月26日には第1回の「ビン牛乳の日」を記念して、伊勢と東京でイベントを開催する。

 同社は1919年創業。牛乳本来のおいしさと品質を追求する中「おいしい牛乳には、瓶は欠かせない」というこだわりを持っている。看板商品の低温殺菌「山村牛乳」をはじめ「山村コーヒー」「山村フルーツ」など瓶入り乳製品は14品目47種類。日本最多の商品ラインアップを誇る。

 しかし、瓶牛乳を取り巻く環境は年々厳しくなる一方だ。農林水産省の調査によると、最近10年間で瓶入り牛乳の生産量は3分の1、製造工場数は2分の1に減った。紙などに比べてコストが大きく、運搬や回収の手間は効率性重視の世の中に合わないとされたこともあって、このままでは10年以内に消滅する恐れがあるという。

「ビン牛乳の日」の記念日登録証を持つ山村乳業の山村卓也さん=伊勢市本町の「山村みるくがっこう外宮前店」で2024年11月13日、小沢由紀撮影

 現状に危機感を覚えた同社広報担当の山村卓也さん(34)は瓶牛乳の文化的価値を見直し、次世代へつなぐきっかけにしようと考え「記念日」の制定を検討。「11」を2本の瓶に見立て、風呂(ふろ)を表す「26」と組み合わせて11月26日を「ビン牛乳の日」として申請した。

 山村さんは「瓶牛乳には懐かしさだけでなく、令和ならではの新たな価値もあるはず。『ビン牛乳の日』が瓶牛乳の未来へ向かって動くきっかけになれば」と期待する。

 今月26日のビン牛乳の日、伊勢神宮内宮前と外宮前の直営店「山村みるくがっこう」で瓶入り山村牛乳など約10品を半額で販売。東京・原宿の銭湯「小杉湯」でもコラボイベントを開催する。問い合わせは同社(0596・28・4563)へ。【小沢由紀】

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