LGBTQなど性的少数者への差別に反対する映画監督の声明を発表する記者会見で、トランスジェンダー当事者として芸能界での経験を話す中村中さん(中央)=東京都内で2024年11月20日午後2時3分、藤沢美由紀撮影

 国内で活動する映画監督97人が20日、LGBTQなど性的少数者への差別に反対する声明を発表し、発起人代表の東海林毅(しょうじ・つよし)さんのほか、芸能界で働く当事者として歌手で俳優の中村中(あたる)さんと、ゲイであることを公表している俳優の水越とものりさんが東京都内で記者会見を開いた。

 声明は、暴力や自死など望まない形で亡くなったトランスジェンダーの人たちを悼む「トランスジェンダー追悼の日」に合わせて出した。東海林さんや深田晃司さんらが発起人となり、上田慎一郎さんら89人の映画監督が賛同者として名を連ねた。

 声明では、特にトランスジェンダーを標的とした「苛烈な差別言説が社会にあふれている」として、差別への反対と「連帯と支持」を表明。「映画に関わるすべての人が誰一人、排除されない社会であることを望みます」と訴えた。

 東海林さんは映画監督に賛同を呼び掛けたことについて「作品に大きな責任を負っており、マイノリティーの描き方は社会に影響を及ぼす。監督という立場の人間が声を上げ、連帯することは重要だ」と説明。映画や演劇などの世界に関わる当事者22人から聞き取ったハラスメントや差別の事例も紹介し、「当事者だとカミングアウトしていない人が多いため見えにくいが、被害を受けていることが分かる」と訴えた。

 トランスジェンダー女性であることを公表している中村さんは、撮影現場でトランスジェンダーが嘲笑の対象にされていると感じた経験などに触れ、「私は差別を受け入れるために公表したのではない。誰もが力を発揮できる労働環境になるよう願っている」と話した。【藤沢美由紀】

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