自分に必要なもので作る「防災ボトル」の例。携帯トイレやミニライトなど10点をボトル(右上)に詰める=福岡市中央区で2024年4月23日、田崎春菜撮影

 ゴールデンウイーク(GW)に合わせ、この時期は旅行や帰省を予定する人が多い。元日に発生した能登半島地震では、帰省中に被災した人が少なくなかった。自宅の備えが万全でも、旅先や移動中に予期せぬ災害が起こった場合は勝手が違う。日常と異なる環境を想定して、どんな備えをしておくといざという時に役立つのだろうか。

 能登半島地震後、X(ツイッター)には「能登半島に旅にきて地震にあった。心配ばかりで眠れない。一人だから話す相手もいない」「そこに住んでなくても災害に遭う可能性があることを実感した」など、不慣れな地で対応を迫られた人たちの投稿が見られた。災害を身近に感じたことで持ち物を見直したという声もあった。

 慣れない土地で、自身の備えも少ない中、身を守るには何が大切なのか。危機管理教育研究所の国崎信江代表は「旅先など訪れた場所の災害リスクなどをイメージすることが重要」とする。

 例えば、海辺に出かけた場合は、地震の発生を想定し、近くの高台や海抜の情報を確認する。旅館やホテルなどの宿泊先では、非常口の位置を把握しておく。国崎代表は「構え過ぎずに『ここにいたらどこに逃げようかな』という視点を少しでも意識して」と話す。

 また、「バッグに入れて持ち歩ける範囲で防災用品を入れておくとよい」とも提案する。具体的には、モバイルバッテリー▽キャンプ時などに丸めて持ち歩ける薄型のソーラー充電シート▽携帯トイレ▽液体歯磨き▽飲食物――などがある。

旅行先や帰省中の災害を想定した持ち物などの備え

 スマートフォンに、避難所ガイドアプリや近くの人にSOSを出せるアプリを入れておくのも有効だ。「普段から防災グッズを使ったり、アプリを入れたりしておくと、どれぐらい使えるのか把握もでき、いざという時に役立つ」と呼びかける。

 ただ、移動が多い場面ではできれば荷物を少なくして身軽に過ごしたい。そこで注目されるのが「防災ボトル」だ。手持ちの500ミリリットルほどの容量のボトルに、ライトや非常食など10点ほどを詰めたもの。持ち運びが楽で、非常時に中身を取り出せば、容器は本来の用途の飲料ボトルとして使える。

 2022年に警視庁災害対策課がXで紹介して広く知られるように。容器は100円ショップなどで入手できるほか、中身を含む一式セットもネットで1000円ほどで購入できる。わずかな備えが旅行を心置きなく楽しむお守りがわりになるかもしれない。【山口響、田崎春菜】

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