いよいよゴールデンウイーク(GW)が始まった。最長で10連休(27日~5月6日)も可能とあって、しばらく家を留守にする人も少なくないだろう。しかし、そんな時こそ気をつけたいのが空き巣の被害だ。一般社団法人「日本防犯学校」学長で、警察署員対象の講座や捜査協力などもしていた梅本正行さん(73)に出掛ける前の注意点を尋ねた。
2022年版の犯罪白書によると、住宅を狙った侵入窃盗の認知件数は行楽シーズンに増える傾向がある。新型コロナウイルス感染拡大前の15~19年の月別平均を見ると、GWを含む5月は3258・0件で、10月(3304・6件)に次いで2番目に多かった。
梅本さんは防犯警報装置の販売・設置工事業を営む父に連れられ、中学生の頃から空き巣などの被害現場を回ってきた。住宅、銀行、農協のコメ倉庫に、お寺のさい銭箱……。頭には、窃盗事件が起きやすい環境や手口などあらゆる情報がたたき込まれている。
そんな梅本さんから見て、「しばらく帰ってこないな」と思わせる家の特徴は?
「昨日も今日も車がない。夜になってもう一回見に来たら、家の中はやっぱり暗いまま。明らかに留守です。たった1台の車の有無が空き巣を呼ぶ原因につながります」
では、どうすればいいのか。「空き巣は『なんか留守っぽい』ではなく『留守だ』と確信が持てる家を選びます」。そのため、一軒家であれば、例えば駐車場の真ん中にさりげなく自転車を置いたり、夕方になったら自動でつく室内灯をリビングに取り付けたり。そういった対策を組み合わせ、「中に人がいる雰囲気を出す工夫」が必要になるという。
留守の間は新聞配達をストップしてもらうのはもちろんのこと、宅配便を玄関前に置く「置き配」サービスを利用する人はこの間に荷物が届かないようにしたほうがいい。「もし近所に親戚や仲の良い知人がいるなら、シャッターの開け閉めや荷物の回収をお願いする手もある。協力してもらった場合は、お土産を渡してお礼を伝えることも忘れずに」
侵入しやすい家の特徴も押さえておきたい。空き巣は「入りやすさ、室内での物色のしやすさ、逃げやすさ」を意識する傾向があるという。入りやすく物色しやすいという点でいうと、人目が少ない場所にあり、通りから敷地内が見えないといった特徴がある家は要注意だ。逃げやすさでいえば、人混みに紛れることができたり駅から近かったりするエリアにある家は空き巣にとって好都合となる。
そうした点を踏まえ、侵入を防ぐには空き巣が嫌う①音②光③時間④目⑤通報――を意識した対策が効果を発揮する。例えば、音であれば敷地内に防犯砂利を敷く、光であればセンサー式のライトを設置する、といった具合だ。防犯窓ガラスにしたり窓に防犯フィルムを張り付けたりすれば時間稼ぎになり、防犯カメラは目の役割になる。さらに、異常を知らせてくれるセキュリティーシステムを施しておけば安心だ。
SNS(ネット交流サービス)の投稿にも防犯意識が欠かせない。例えば、「○○にいます」といった表現は避け、「○○へ行ってきました」と過去形にする。ガードレールの特徴だけでも地域が特定できてしまうため、普段から映り込む情報にも気を配る必要がある。
梅本さんは「過去の投稿などから生活圏や通勤圏といった情報は特定されていると思った方がいい。逮捕された人が知り合いだったなんて、珍しいことではありません」と語り、こう強調する。「大勢の人に危機意識を持って自主防犯や地域防犯に取り組んでもらいたい。みんなが防犯に取り組むことは、犯罪者を生まない社会を作ることにもつながるのです」【千脇康平】
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