今週は沖縄本島北部の豪雨被害など、心配なニュースが相次ぎました。一級河川がない沖縄で、まさか川が氾濫し住宅に浸水したり車を押し流したりするなんて。新聞やテレビのニュースで見る被害の数々に言葉を失いました。被害に遭われた地域の、一日も早い復旧と復興を願います。

 人的被害が出なかったことは本当によかったです。ただ、沖縄県の対応の遅れが原因で、災害救助法の適用ができたにもかかわらず、適用の時機を逸してしまった問題がありました。

 被災者に不利益が出かねない事態で、識者は「災害体制を総点検する必要がある」と厳しく指摘しています。全文はこちらから。

災害救助法とは?

 そもそも災害救助法とはどういう法律でしょうか。今回のニュースを機に、改めて法律の概要を調べてみました。内閣府がまとめた資料によると、「災害救助法は、発災後の応急期における応急救助に対応するための法律である」としています。

 災害により被害が起きる恐れがあり、現に救助を必要としている人に、避難所の設置や応急仮設住宅の提供、食品、飲料水の提供、服や寝具、生活必需品の貸与や給付、医療や助産、被災者の救出など、法律や政令で定められた支援をします。適用を決めるのは都道府県。市町村の費用負担をなくし、国費を投じて支援することが大きな特徴です。住民の避難や復旧支援だけでなく、復旧・復興に当たる市町村職員の時間外勤務手当や旅費、ボランティアの調整に当たる人員の人件費なども国費負担の対象となっています。

 財政規模が小さな市町村にとっては、かなりの負担軽減になります。内閣府は救助法を適用した後に被害が少ないことが分かっても「気にする必要は全くない」として、早めの判断を促しています。鹿児島県は9日に与論町への適用を決定しており、沖縄県の対応が悔やまれます。

 国から連絡を受ける窓口が一本化されていなかったとして、玉城デニー知事は不備を認め、体制を見直すように指示を出したとしています。また、救助法と同等の支援を検討しているといいます。

 一日も早く「同等支援」を決定し、復旧作業が加速することを願います。また、同じことが繰り返されないよう、一連の意思決定などを検証して、再発防止策を講じてほしいと思います。

台風25号の進路は?

 北部豪雨の影響もあり、沖縄に近づいてくる台風25号にはヤキモキします。気象予報士・崎濱綾子さんの人気コラム「うちなぁ季節めぐり」によると、台風は15日午後3時現在、バシー海峡にあり、1時間に約15キロの速さで北北西へ進んでいます。今後北上し、17日には先島諸島の南海上で熱帯低気圧に変わる見込みとされています。

 ただ、25号の後に24号が北上してくるそうで、注意を促しています。やはり今週末は悪天候が予想されそう。最新の情報をこまめにチェックして、早めに備えてください。

ウェブ限定記事が続々

 沖縄発のスタートアップや沖縄で事業を展開するスタートアップの取り組みや課題、展望に迫る連載「スタートアップ・ノート」。今週は、沖縄市のフォーシーズを取り上げました。コザスタートアップ商店街などの運営に携わり、県内のスタートアップ支援を通して地域経済の活性化に汗をかく豊里健一郎さん(36)が、スタートアップの成長をより加速させようと新しいファンドの立ち上げに挑んでいます。

起業家や投資家などが集まるイベント「コザロックス」で講演するフォーシーズの豊里健一郎さん=2024年7月、沖縄市のラグーン・コザ(同社提供)

 「支援する側に回るのではなく、自分でスタートアップをやった方がいいんじゃないですか?」と率直にぶつけてみました。すると豊里さんは「最初は僕もそう思って、起業したんです。でもやってみたら気づいた課題があって...」と説明してくれました。沖縄のスタートアップの現状をどう分析しているのか、世界で戦えるスタートアップが育つエコシステムの形成を通じて、どのような沖縄を実現したいのか。豊里さんの熱量に、多くの方が触れてほしいです。

 支援と言えば、こちらも多くの方に読んでほしい連載です。うつ病で休職した人の復職を専門的に支援する一般社団法人「BowL(ボウル)の挑戦」。創業から11年のボウルの試行錯誤を通して、誰もが自分らしく健やかに働くためのヒントを探っています。第1回目はこちらから。

 このほか、ウェブでしか読めない、R-1王者の漫談家、街裏ぴんくさんにインタビューした記事も好評配信中です。

 最後に。12月1日開催のNAHAマラソンまで、あと2週間。沖縄タイムスでは師走の風物詩を盛り上げようと、参加するジョガーの皆さんからエピソードを募っています。記者が取材にうかがい、紙面に載るかも?!

 では、今週はこの辺で。デジタル編集部の川野百合子が担当しました。

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