名古屋高裁が入る名古屋高地裁合同庁舎

 旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制されたとして、名古屋市の70代夫婦が国に損害賠償を求めた訴訟は15日、名古屋高裁(朝日貴浩裁判長)で和解が成立した。国が夫婦に計1500万円の慰謝料を支払う。これにより、2018年以降、被害者ら39人が全国12の地裁・支部に提訴した一連の訴訟は全て終結した。

 旧法を違憲とし、国の賠償責任を認めた7月の最高裁判決を受け、原告側と政府は9月、不妊手術を受けた本人に国が慰謝料1500万円を支払うことなどを盛り込んだ和解の合意書に調印。その後、各地で和解が進み、名古屋高裁が最後となっていた。

 原告で、夫婦で聴覚障害がある尾上敬子さん(74)と夫の一孝さん(77)は今回、公開の法廷での和解を要望していた。尾上さん夫婦は子どもを望んだが、敬子さんは1975年5月ごろ、旧法に基づく不妊手術を受けた。22年9月、国に損害賠償計2970万円を求め提訴していた。【道下寛子】

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