緑川鉄橋を渡る5号機関車(熊本バス所有)

 熊本市から熊本県美里町までを結び、1964年に廃線となるまで地元で親しまれた「熊延(ゆうえん)鉄道」の写真展が、15日から同県御船町の「御船街なかギャラリー」で開かれる。2016年に開業100周年記念で開催したパネル展の再展示で、題して「熊延鉄道写真展~再び~」。入場無料、30日まで。

 同鉄道は、1912年に現在の熊本市中央区と御船町を結ぶ「御船鉄道株式会社」として開設。その後、宮崎県延岡市までつなげようと「熊延鉄道」に改名し、美里町(旧砥用(ともち)町)まで延伸したが、自動車などの普及に伴い64年、廃線となった。

手作りの惜別ヘッドマークを取り付ける熊本高校の鉄道ファン(撮影者、中村弘之氏。砥用駅で1964年3月31日)

 開業100周年の記念パネル展は、列車が走っていた市町で巡回して開いた。当時を知る地元の人など計約7000人が訪れて好評で、再展示を求める声もあり今回の展示を決めた。

 運行当時の列車の雄姿、廃線で、取り外される線路――。今回も、こうした在りし日の姿、あの日の思い出など約100枚が展示される予定だ。17日には最後の列車に車掌として乗務した堀田三直(みなお)さん(87)と、熊本鉄道愛好クラブ・有明会の中村弘之さん(88)が熊延鉄道について語り合う。

 企画した御船町観光協会の田中良幸事務局長は「実は今でも残っているトンネルや駅舎もある。こういった遺構を知る機会になれば」と話している。

 期間中は原則午前9時~午後5時(最終日は同3時)。18、25日は休館。問い合わせは同協会(096・200・3965)。【山口桂子】

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