栃木、茨城、埼玉、群馬の4県にまたがる渡良瀬遊水地でイノシシが急増し、4県で構成する渡良瀬遊水地連携捕獲協議会は25日、今年度の広域捕獲の目標頭数を現行20頭の5倍増となる100頭に引き上げることを決めた。遊水地をかかえる栃木市など4市2町による有害駆除を含め年間400頭の捕獲を見込み、急増に歯止めをかけたい考えだ。
同協議会は2022年4月、遊水地でのイノシシ、ニホンジカの生息実態の把握や市町では難しい県境域の広域捕獲などを目的に4県が設立した。ドローンによる生息調査では、イノシシの確認数は19年度の205頭から3年後の22年度には488頭に倍増。さらに昨年度は834頭に増えた。年間20頭を捕獲目標に掲げ、22年度20頭、23年度は28頭と実績は残したが、旺盛な繁殖力には追いついていない状況だ。
この日、オンラインで開いた総会では、昨年度の調査結果を踏まえ、捕獲による生息数調整の強化を決めた。
県のイノシシ管理計画で県域全体の推定生息数の約半数を捕獲目標としていることから、遊水地の推定数の半数にあたる400頭を総捕獲目標に設定。このうち広域で100頭捕獲するため、くくりワナを現行50基から60基に、箱ワナを同10基から12基にそれぞれ増設。捕獲期間も始期を1カ月前倒しして11~3月とし、現行より10日増の90日間に拡大する。
一方、4市2町や関係団体でつくる渡良瀬遊水地保全・利活用協議会(会長・大川秀子栃木市長、44団体)は同日、わなの増設などを捕獲協に要望した。加盟する市町にも捕獲従事者の確保など対策強化を要請する。
渡良瀬遊水地は総面積約33平方キロメートル。三つの調節池以外はヨシ原中心の湿原で、大部分が国指定の鳥獣保護区。2000年代までイノシシ被害が問題化することはなかったが、09年ごろから出没し、特に15年の東北・関東豪雨以降、急速に生息数を増やしている。【太田穣】
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