「流水型ダムの早期着工」を求める要望書を蒲島郁夫知事に手渡す流域市町の首長。五木村の木下丈二村長(後列右)も同席した=熊本県庁で2024年4月12日、山口桂子撮影

 熊本県の球磨川支流・川辺川に建設予定の流水型ダムを巡り、流域の市町村長らが12日、県庁を訪れ「流水型ダムの早期着工」を求める要望書を蒲島郁夫知事らに手渡した。要望書にはこれまで賛否を示してこなかった、一部が水没予定地となっている五木村と建設予定地の相良村が名を連ねており、事実上、建設容認の色彩が強い。構想から半世紀以上の曲折を経た巨大ダム計画は、実現に向け最終局面に入った。

熊本県の川辺川ダム予定地

 要望書には、早期着工のほか、地域振興の促進が盛り込まれた。五木村は21日に村民集会を開きダム建設を容認する方針を固めており、同行した木下丈二村長は「いろんな状況が整ってきたので、早く新たなスタートを切るべきだ」と説明。一方、相良村は「ダムには賛成も反対もない」とコメントした。蒲島知事は「新たな流水型ダムの実現に限りなく近づいている」との認識を示した。

 ダム計画を巡っては、蒲島知事が就任直後の2008年に白紙撤回したが、20年の九州豪雨を受け容認に方針転換した経緯がある。

 国と県は27年度のダム本体の着工、35年度の完成を目指し、知事の要望で本来は対象外となる環境影響評価(アセスメント)の法律に準じた手続きを進めてきた。環境アセスの最終手続きに向け県は12日、「県が求めた環境に極限まで配慮されたものであり、清流を守るものと評価」とする知事意見を国土交通省に提出した。【山口桂子】

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