海上自衛隊の哨戒ヘリコプター墜落事故で、現場海域で回収された機体の一部(海自提供)

伊豆諸島の鳥島東方海域で海上自衛隊のSH60K哨戒ヘリコプター2機が墜落した事故で、海中の状況を調査できる海洋観測艦「しょうなん」が24日、沖縄県うるま市の基地を出港した。26日にも現場海域に到着し、海底に沈んでいるとみられる事故機体の捜索作業に入る。ただ、現場海域は深さ約5500メートルの深海で捜索、引き上げ作業は難航する恐れがある。

「砂漠の中から砂金を探すようなもの。発見すら困難だが、仲間のためにやれる限りのことをやる」。ある海自幹部は未経験の深さでの機体捜索について、こう苦渋の表情を浮かべる。

現場では20日夜の事故直後、フライトレコーダー(飛行記録装置)や機体の一部を回収したが、他に手がかりはない。沈んだとみられる主要部分には救助された1人を除く隊員7人が取り残されている可能性がある。海自は超音波を使用した音波探知装置(ソナー)で位置を特定する考えだ。

ただ、深海では水深が深くなるほどソナーの画像は不鮮明になる。発見できたとしても深いほど水圧や潮流の影響が大きくなり、遠隔操作型無人潜水機(ROV)の活動範囲には限界がある。

沖縄県宮古島付近で昨年4月に起きた陸上自衛隊ヘリの墜落事故では約1カ月後に機体を引き上げたが、水深は約106メートルだった。青森県沖で平成29年8月に起きた海自哨戒ヘリの事故では、民間サルベージ会社が約2600メートルの海底から機体を引き上げたが、今回はその倍以上だ。

元海上保安庁幹部で日本水難救済会の遠山純司(あつし)理事長は「難しい作業には違いないが、大きな水圧に耐えられる機材を確保できるかがカギを握るだろう」と話した。

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