沖縄県内で障がい福祉事業所を運営する名護市の株式会社が、必要な事前手続きを経ず全6事業所を2日に閉鎖したことが4日、分かった。事業を廃止する1カ月前の提出が法律で義務付けられている届け出も未提出で、4日に県が指導した。突然解雇された職員や行き場を失った利用者に混乱が広がっている。

 県などによると、同社は名護市や本島中南部で放課後児童デイサービスや就労支援事業所などを展開。代表者が職員や利用者に伝達してすぐ事業所を閉鎖したという。

 2日に事態を把握した県は、4日に予定されていた北部福祉事業所の通常の指導で同社の代表から状況を確認した。同社は破産を法務局に申請中といい、県は「利用者を新たな事業所につなぐ便宜を図る責務がある」と同社を指導。利用者を次のサービスにつなげる調整のため、県内全市町村に事態を周知したという。

 同社が運営する就労支援事業所で働く30代女性は3日に「廃業した」との文書を受け取った。4日に支給予定だった給料も支払われていない。女性が暮らすグループホーム代表は「(女性は)毎日楽しく仕事に行っていたのに、ショックを受けてもうどこにも行かないと言っている。社会的弱者のことを考えているとは思えない」と憤った。

 同社の放課後デイに子どもが通う名護市の40代女性は「2日から6日間休業する」との連絡を受けたが、実際は2日に閉鎖された。解雇された職員から謝罪の電話もあった。「急なことで驚いた。詳細な説明もない」と困惑していた。

 名護市の事業所にいた女性職員は「私たちも2日に事務所から『事業を停止する』と言われただけで、具体的なことは何も分からない」と話した。(社会部・勝浦大輔、大野亨恭、北部報道部・前田高敬)

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