支払い能力を超える売掛金(ツケ)を女性客に背負わせる悪質なホストクラブの対策について、警察庁は2日、有識者検討会の中間報告を公表した。虚偽の料金説明や恋愛感情に乗じて女性を依存させる悪質な行為に対して、風営法を改正して規制を強化する方向で検討している。
警察庁は7月から大学院教授や弁護士、飲食業の業界団体の理事らによる検討会を開催。検討会は2025年初めごろまでに最終的な報告書をまとめる。それを踏まえて警察庁が風営法改正案を検討する見通し。
検討会では、風営法上、ホストクラブと同じ営業形態にはキャバクラなども含まれるため、規制の対象をホストクラブに限定するのではなく、悪質な行為を対象とする方向で議論している。
悪質なホストクラブについては、若い女性が支払えない料金の飲食をさせて売掛金を背負わせる「売掛金の蓄積」の問題があると指摘。さらに、その借金を背負った女性に売春や性風俗店で勤務させ、収入を取り立てる「売掛金の取り立て」の構図も問題視した。
この流れを断ち切るためには、店側が事前説明よりも高い料金を請求する虚偽説明や、ホストが恋愛感情に乗じて女性を依存させる行為を風営法が規制する「順守事項」や「禁止行為」に加えることが考えられるとした。
現在の順守事項は、料金の表示義務や照度・騒音の規制などで、禁止行為は18歳未満の客を店へ立ち入らせることなどがある。
売掛金自体は商行為のため規制が難しく、検討会は売掛金の取り立てについて、おびえさせるなどして売春させることを規制できないか検討する。性風俗店へのあっせん防止や悪質な営業の排除方法も議論する。
東京・歌舞伎町で路上売春や性風俗店など「夜職」の女性支援に携わるNPO法人「レスキュー・ハブ」の坂本新代表は「恋愛感情で女性客を依存させる行為は悪質ホストクラブ特有の手法で、禁じようという方向性は悪くない。ただ何が『悪質行為』に当たるのかをもっと具体的に詰めないと、実効性に欠ける恐れがある。(店側に)適当な言い逃れをさせない枠組みが必要だ」と指摘する。【山崎征克、春増翔太】
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