温泉じゃない方の草津も人気です――。滋賀県草津市が24日、住民基本台帳ベースで人口14万人を突破した。草津といえば日本三名泉の一つ、草津温泉(群馬県草津町)を思い浮かべる人も多いだろう。だが、日本の人口が減る中で右肩上がりで住民が増える琵琶湖畔の草津も知名度が上がっている。
1954年に人口3万2152人で市制がスタートした草津市は、京都と大阪のベッドタウンとして成長してきた。94年の立命館大びわこ・くさつキャンパス開設とJR南草津駅開業で人口増が加速。東海道と中山道が交わる宿場町だった交通の要衝であることは現代も変わらず、2008年に名神高速道路と新名神高速道路が草津ジャンクションでつながり、発展は続いた。
市企画調整課は「京都まで電車で約20分、大阪まで約50分の利便性に加え、市街地から車で15分ほどで琵琶湖の自然を満喫できる。大型商業施設も複数あって買い物も便利」と胸を張る。京都に近く周辺に名所旧跡の多い歴史ロマンあふれる街でもある。更に「人気に伴い地価も上がっているが、京阪エリアより割安感はある」とアピール。「南草津プリムタウン」の住所で造成された地域には、ずらりと一戸建てが並ぶ。
人口増加率では他に急激に伸びる自治体もあるが、東洋経済新報社の23年版「住みよさランキング」で関西圏内1位(全国20位)に輝いている。全国2位の東京都武蔵野市の人口は約15万人でイメージは似ているかもしれない。
豊富な湯量や「湯もみ」で有名な草津温泉に負けじとその名は広まっている。市が昨年、群馬や大阪のイベント会場で実施したアンケートでは、関西圏外在住でも約75%の人が「草津市を知っている」と回答し、知名度は低くなかった。
草津市役所では14万人達成記念セレモニーが行われ、喜びに沸いた。一方、24日に試算が公表された地方自治体「持続可能性」分析リポートでは「消滅可能性自治体」ではなかったが、将来的には人口が減少する自治体とされた。橋川渉市長は「(人口増が)いずれピークになるのは分かっている。人口維持のため『産み育てるなら草津』を掲げ、子育て支援などを強化していきたい」と口元を引き締めた。【礒野健一】
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