[パラオで発見! 教育の種 JICA沖縄教師海外研修](4)

 「どうせ、沖縄戦のことをやるんでしょう?」

 以前私が勤めていた学校で、授業開始時に生徒から言われた言葉である。

 その生徒は、沖縄戦を学ぶことに否定的だったわけではなく、慰霊の日が近づくにつれ、沖縄戦関連の授業や講演会が増えることに対して感じた思いを伝えただけに過ぎない。しかし、その発言から私たちの平和教育が生徒にはマンネリ化しているのではないかと考えるようになった。

 今回私が教師海外研修を希望した理由の一つに、パラオの視点から平和を考える教材を作りたいという思いがある。

 研修では、地上戦が繰り広げられたペリリュー島を訪問することができた。

 島に到着するとまず目にするのが日本語で書かれた「ペリリューへようこそ」の文字である。80年前、確かにこの地に多くの日本人がいたのだと実感した。また戦時中に使用されていた戦車や爆弾等がそのまま展示されおり、私たちは直接触れることができる。

 戦跡ガイドの平野雅人さんによると、戦争の遺物をむき出しのまま展示しているのは、より当時の様子を私たちに感じてほしいという思いからだそうだ。

 木々が生い茂る自然豊かな環境の中、ぽつんと置かれている戦車が私にはとてもアンバランスに感じられ、より戦争の悲惨さを体感することができた。

 ペリリュー島にはかつて「東洋一」といわれた飛行場があり、現在その跡地は米軍によって再整備が進められている。台湾有事に備えるためといわれている。再びペリリューの地が戦禍に巻き込まれるのではないかと不安を覚えると同時に、沖縄がペリリュー島と重なって見えた。

 パラオでは、平和や国際協力について自分が疑問に感じていることの答えを探す旅にしたいと考えていた。

 しかし実際にパラオの研修を終えた今、今まで以上に多くの疑問が残る形となった。これから授業の中で生徒とともに「なぜ?」「どうして?」の答えを追究することになるだろう。その中で新たな気付きが得られることが楽しみである。

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