静岡地裁の国井恒志裁判長=代表撮影

 1966年6月に静岡県清水市(現静岡市)で一家4人を殺害したとして、強盗殺人などの罪に問われ死刑が確定した袴田巌さん(88)に対するやり直しの裁判(再審)で、静岡地裁の国井恒志裁判長は26日、無罪判決(求刑・死刑)を言い渡した。その上で、「(袴田さんの逮捕から再審無罪確定まで)ものすごく時間かかることに本当に申し訳なく思う」と謝罪した。

 国井裁判長は判決言い渡し後、袴田さんの姉秀子さん(91)に、検察官には無罪判決を不服として控訴する権利があることを説明。「裁判所は自由の扉を開けた。しかし、この扉は閉まる可能性もある。健やかにお過ごしください」と語り掛けた。

 国井裁判長は1994年に任官したベテラン刑事裁判官。

 24年7月には、静岡県牧之原市の認定こども園で、送迎バスに園児を取り残し熱中症で死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われた元園長に禁錮1年4月の実刑判決を言い渡し、「子どもを守る大切さを考えなければいけない」と説諭した。

 ある刑事裁判官は「検察側、弁護側双方に目配りし、冷静に審理を進める」と評する。【巽賢司、丘絢太】

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