大阪地裁、大阪高裁、大阪簡裁が入る合同庁舎=大阪市北区で、曽根田和久撮影

 水俣病被害者救済特別措置法(特措法)に基づく救済を受けられなかった大阪府などに住む未認定患者らが、国と熊本県、原因企業のチッソに損害賠償を求めた集団訴訟の控訴審第1回口頭弁論が25日、大阪高裁(東亜由美裁判長)であった。被告側は原告全員を水俣病と認めた1審・大阪地裁判決(2023年9月)の取り消しを求めた。

 控訴審で賠償を求めている患者らは死亡などに伴い、1審から2人減って126人となった。1人当たりの請求額は450万円だったが、1審判決で認められた275万円に変更している。

 患者らはいずれも熊本、鹿児島両県出身で、チッソが排出したメチル水銀に汚染された魚介類を食べ、感覚障害を発症したと主張している。この日の法廷では大阪府内の70代女性が「手足のしびれや震えは30歳の頃から。一日も早く救済の道を開いてください」と意見陳述した。

 09年に施行された特措法は一時金などが支給される救済対象として、メチル水銀を含む排水が流れた水俣湾周辺の熊本、鹿児島両県の9市町に居住した人らに限定。居住歴の要件を満たさないなどの理由で未認定となった患者らが訴訟で救済を求めている。【木島諒子】

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