国が熊本県の球磨川支流の川辺川に建設予定の流水型ダムを巡り、事業主の九州地方整備局川辺川ダム砂防事務所は24日、熊本市内であった環境保全対策検討委員会で、最終段階となる環境影響評価(アセスメント)の報告書案を示した。環境への影響は配慮されているとし、国土交通相の指摘を受けて、環境変化が生じた場合は最新の知見を踏まえて適切な措置を講じるなどとした。10月をめどに報告書を公表した上で関連工事を始める予定。
委員会では県知事や一般からの意見を踏まえ、国交相から、予測し得ない環境変化が生じた際の環境保全措置▽地域住民への丁寧な説明▽事後調査と環境監視の実施――などの指摘がなされ、報告書案に反映された。
九州大名誉教授の楠田哲也委員長は「ダム事業は影響が膨大な中、議論を尽くしたリポートができた」と総括。斎藤正徳・川辺川ダム砂防事務所長は「今後も地元住民には分かりやすく説明し、少しでも地域に理解してもらえるよう努力したい」と述べた。
川辺川ダムは関連工事が環境影響評価法の施行前に始まっていたため本来はアセスメント対象外だが、蒲島郁夫前知事の要望で、事業主の国が同等の調査と委員会での議論を約3年間実施してきた。【山口桂子】
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