スピーカー搭載のドローンは手動操縦で飛行する=山梨県富士河口湖町で2024年9月18日午後3時33分、佐藤薫撮影

 富士山のふもとに広がる青木ケ原樹海で、ドローンを使った夜間パトロールを山梨県が始めた。自殺しようとする人を発見して安全な場所に誘導することを目指す。県内の自殺者数(人口10万人あたり、発見地ベース)は2022年、23年と全国ワースト1位。自殺者の約3割を県外居住者(居住地不明含む)が占めることも課題だ。抑止のため、地元の監視員が昼間に実施していたパトロールを夜間に拡大する。【佐藤薫】

 ドローン運行会社の「JDRONE」(東京都)に委託。9月中旬にスタートし、25年3月まで実施して効果を検証する。自殺を図ろうとする人がパトロールを避けるのを防ぐため、飛行コースや時間帯、地域などは公表しない。

自動飛行のドローン搭載の通常のカメラから樹海を見下ろした様子(画面右側)と赤外線カメラの映像(同左側)。赤外線カメラの映像の中央部分の白い点は周辺より高温であることを示し、人と判別する=山梨県富士河口湖町で2024年9月18日午後3時35分、佐藤薫撮影

 報道機関向けのデモ飛行が18日、公開された。赤外線カメラを搭載した自動飛行のドローンが樹海の上空100~80メートルを飛行。カメラ映像で遊歩道から外れた場所にいる人などを見つけると、手動操縦の別のドローンが発見場所に向かい、スピーカーで「手伝いが必要なら手を振ってください」「困っていませんか」などと呼びかける。同時に、地上で待機しているパトロール員が現地に向かい、保護する。

 青木ケ原樹海のパトロールは、地元の富士河口湖町と鳴沢村が10年から県の補助で実施。監視員が周辺部は自動車で、遊歩道は徒歩で毎日見回っている。

 県健康増進課によると、過去5年の自殺者数は19年182人▽20年182人▽21年192人▽22年199人▽23年215人--と増加傾向。知見圭子課長は「自殺の名所と言われる青木ケ原樹海のイメージを払拭(ふっしょく)したい」と効果を期待する。

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