ハザードマップの浸水想定区域に建てられた仮設住宅でも被害が出ており、消防隊員らがゴムボートを使って捜索活動をしている=周辺住民提供

 今回の能登豪雨は、能登半島地震の仮設住宅にも床上浸水などの被害をもたらした。背景には、能登半島は中山間地が多く平らな空き地が限られるため、被災市町は仮設住宅を洪水の浸水想定区域などにも整備しなければならなかった状況があった。

 石川県建築住宅課によると、大雨の特別警報が出された市町が建設、または建設予定の仮設住宅は9月17日時点で計5108戸(珠洲市1640戸、輪島市2897戸、能登町571戸)だ。

 このうち、洪水の浸水想定区域には計1952戸(珠洲市で82戸、輪島市1809戸、能登町61戸)ある。

 土砂災害警戒区域にある戸数は計1264戸(珠洲市が221戸、輪島市は935戸、能登町108戸。一部は浸水想定区域と重複)に上る。

 また、輪島市の仮設住宅が建つ敷地2カ所は、土砂災害特別警戒区域と重なっていた。

 県建築住宅課の担当者は「能登半島は平地が少なく山地が多い。平地では、こうした土地に建設せざるを得なかった」と話した。【大坪菜々美】

地理的条件などから困難

 東京大学大学院の片田敏孝特任教授(災害社会工学)は「安全な場所での仮設住宅の設置は地理的条件などから困難でいたし方のない部分が大きい。自然の猛威が相手である以上、制御は困難で『防ぎきれないものがある』という前提に立つべきだ。危険が予想された際は自発的に早めの避難をするほかない」と話す。【露木陽介】

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