21日午前9時ごろ、石川県輪島市中心部の河井町地区では大粒の雨がたたきつけ、道路が浸水していた=提供写真

 石川県で発生した記録的な大雨は、元日の能登半島地震で甚大な被害が出た被災地を直撃した。復旧や復興を目指す中で再び見舞われた自然災害にやりきれず、おえつする人もいた。

 輪島市議の西恵さん(60)は毎日新聞の取材に応じ、「自宅がある門前町はあちこちで冠水、河川の土砂崩落が起きている。ひどい状況だ」と語った。

 土砂崩れなどで道路の通行止めが多く、「市の中心部に行く手段がない」という。能登半島地震でも大きな被害が出た門前町では、住民たちが公民館に次々と避難してきているという。

 西さんは「市役所周辺も大きな被害が出ていると聞いている。せっかく復興が進んでいたのに、積み重ねてきたものがゼロになってしまったところもあるだろう。本当に悲しい」と話すと、声を詰まらせた。

 輪島市の輪島崎地区長を務める萬正和彦さん(72)は「輪島前神社の裏山の斜面が樹木とともに崩れているようだが、危険すぎて自分の目では確認できていない」と嘆いた。

 21日昼過ぎに雨のピークは過ぎたが、一時期は地区の道路が冠水していたという。

 萬正さんは「正月に震災で大きな被害を受けて、今度は大雨被害。なぜ能登だけがこんな目に遭うのか」とやりきれない心境を打ち明けた。【野原寛史】

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