防災イベントについて話し合う未来創造課の高校生ら=岐阜県美濃市役所で2024年9月13日午後1時19分、稲垣洋介撮影

 岐阜県美濃市役所に地元の高校生6人でつくる「未来創造課」が設けられ、若者の目線で地域の活性化に一役買っている。年間を通して防災や観光に関する事業計画を練り上げて市長に提案し、行政の内側からまちづくりに関わる取り組み。10月6日には仮想現実(VR)を活用した体験型の防災イベントを初めて開催する。

 課のメンバーは県立武義高校(美濃市)ビジネス情報科3年生の男女6人。インターンシップ(就業体験)として、毎週金曜日に市役所3階の執務室で活動し、課長会議や市長への提言にも参加する。市も全面的に支援し、6月の補正予算案に活動事業費213万円を盛り込んだ。

 4月の「配属」以降、課員6人は市や観光協会の職員から聞き取りを重ねて市の課題を洗い出し、防災と観光の2分野に絞って活動することを決めた。

 第1弾として、8月開催の市民花火大会で市外の観光客向けに有料観覧席を設けることを提案。7月には名古屋・栄を訪れ、美濃市の観光PRを兼ねて花火大会の観覧席を売り込み、最終的にはインターネット販売も含めて県内外の22人が購入し、完売した。

 未来創造課課長の井戸雄大さん(18)は「企画したことが形になり、観覧席も完売して良かった。ただ、販売方法などで反省点もあり、分析して来年以降につなげたい」と話す。

 10月に開催される「防災フェスタ」は未来創造課が企画発案した第2弾。武義高校を会場に、VRを活用した災害体験のほか、課員らが作った防災かるた大会、災害時の野外炊事や足湯などがあり、若い人や親子で楽しめる内容になっている。課長補佐で防災担当の村井新さん(18)は「岐阜県は近年大きな災害がなく、市民の防災意識の低さが心配。災害が起きても被害が最小限になるように備えてほしい」と呼びかける。

 12月には東京での観光プロモーションも予定しており、井戸課長は「美濃市の知名度はまだまだ低い。どうやって魅力を伝えるのか考えたい」と意気込む。

 武藤鉄弘市長は「VRを使った防災イベントは、高校生ならではの発想。思いついたことを具体化し、実行していくスピード感がとてもいい。失敗がないのがかえって不安だが、これまでの成果としては120%」と高く評価。「あと半年間、自分たちで作った施策を実行、評価して、次の課題に向かっていってほしい」とエールを送る。【稲垣洋介】

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