愛知県の大村秀章知事は18日の定例記者会見で、旧優生保護法下で不妊手術などを強いられた被害者に対し、「知事として、政治家として、一連の経過は極めて遺憾である思う。大変申し訳ないことだったと、心からおわびをしたいと思う」と、愛知県トップとして初めて謝罪した。
旧法下で各都道府県は優生保護審査会を設置し、個別の障害者らに対する不妊手術の適否を認定するなど、人権侵害の一翼を担っていた。愛知県は優生思想に基づく「よい子を産み、よい子を育てる」運動も展開した。このため、旧法を巡る訴訟の原告となった被害者や支援団体は9月6日、県に謝罪や被害実態の調査、検証などを求める要望書を提出している。
大村知事は18日の会見で「法律に基づいた機関委任事務としてやっていたが、国、県が関わったということは大変重く、大きな人権侵害があったと言わざるを得ない」と述べて謝罪した。
国会では超党派の議員連盟が新たな補償法を議員立法する作業を進めている。だが不妊手術や妊娠中絶手術を強いられた被害者の多くが未特定で、補償が行き渡らない恐れがある。
会見では、県による被害者掘り起こしについて質問があり、大村知事は「新たな補償が全ての被害者に広く届くことが重要」との考えを示した上で、「個人情報に関連することなので、個別連絡ははばかられる。さまざまな広報媒体を使って広報、周知するなどしっかり対応していきたい。個別に働きかけるかどうかは、今後の国の対応を踏まえて適宜適切に対応していきたい」と述べた。【荒川基従】
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