9日は見頃の桜を散らす“春の嵐”が列島に吹き荒れ、首都圏では台風並みの暴風となりました。富士山では“スラッシュ雪崩”も起きています。
■富士山で“スラッシュ雪崩”
カメラが異変を捉えたのは大雨が降り続いていた9日朝のことでした。雪の残る富士山。ものすごい勢いで、真っ黒な土砂が押し寄せました。大量の水分を含んだ雪が土砂とともに流れ下る“スラッシュ雪崩”です。いつの間にか、山肌の雪も見えない状態に。レンズの向こうは大雨でした。降り始めからの総雨量は90ミリに迫る勢い。ちょうどこの時、雨のピークを迎えていました。静岡の富士宮市でもスラッシュ雪崩が起きています。
富士山の西側には大沢崩れと呼ばれる谷があります。スラッシュ雪崩がまず確認されたのは、その谷の下の方、標高2100メートルの地点。そして、県境を超えた大沢川の下流にあたる、標高1500メートルの地点でも。さらに下ると、土砂から街を守る最終防衛ライン、日本最大級の砂防施設『大沢川遊砂地』があります。
富士砂防事務所 中戸真一事業対策官
「通常、夏場だと水が浸透しやすく、雨が降っても出てくる水が少ない。冬場は下が凍って、より多くの水が出て、多くの土砂を巻き込んで(スラッシュ雪崩が)発生しやすい。(Q.スラッシュ雪崩を確認して、どのような対応を)まずは下流で、工事現場で働いている人たち。そういった方に情報提供して二次被害が発生しない対応を取った」
スラッシュ雪崩は年に数回、起きているといいますが、今後数日は警戒を強めるといいます。
富士砂防事務所 中戸真一事業対策官
「川幅を広くして土砂をためやすくなっていたり、ブロックで階段状にして土砂をためやすくしている」
崩れ落ちた土砂を受け止める砂防施設。今回、スラッシュ雪崩による土砂は、この内側で留まっていて被害は出ていません。けが人の情報も入っていないといいます。
■“台風並みの暴風”が通勤直撃
静岡は未明から雨が降り、天城山などでは今年一番の激しい雨となりました。山梨では、警察官が交通整理。信号が強風で向きが変わってしまったといいます。
列島を広く覆った雨雲は関東にも。強い風は勢いを保ったままに。“大仏の日”の9日、茨城・牛久で海外からのツアー客を案内していた観光ガイドは……。
観光ガイド
「すごい雨です。せっかくの大仏様が。ちょっと待って、あー!」
東京は桜流しの雨。都心でも瞬間的に20メートル以上の強い風が吹き、見頃の花を散らしました。東京湾アクアラインは強風のため、上下線とも一時通行止めに。川崎市では、解体工事中の建物で足場が崩れ、付近では信号機が消えるなど停電が発生しました。
職場が停電した人
「会社のブレーカーが落ちたのかなと。外が騒がしかったので見たら(足場が)崩れていた。今も落ちています。停電中です」
この足場が倒れた原因も強い雨風とみられます。
8日は半袖の人や、アイスをほおばる人もいた札幌の街は一転。マフラーを巻く人が目立つように。寒気が流れ込み、各地でぐっと気温が下がりました。女満別では、4月の観測史上1位となる雪が降っています。
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