台風13号の接近を受け、沖縄県内では13日、各地で対策に追われる様子が見られた。今年初の直撃コースが予想された沖縄本島。昨年の台風では、一部地域で1週間近く停電や断水に見舞われるなど県民生活が混乱したこともあり、警戒感が高まった。海や空の便の欠航のほか、3連休に予定されていたイベントの中止や延期も相次いだ。

 17、18の両日に6年ぶりとなる「志多伯獅子加那志13年忌豊年祭」の開催を控える八重瀬町志多伯では13日午前、区民が組み上げた舞台を解体する作業に追われた。

 木製の舞台は2週間ほど前に丸3日かけて組み上げたが、この日は基礎部分だけを残して支柱や屋根、飾りなどを分解。区民は「台風にはかなわん」と苦笑いを浮かべながら、基礎部分にビニールシートをかぶせ、四方に重しのブロックを乗せていた。

 台風通過後の15日に区民総出で再び舞台を組み立て、豊年祭は予定通り実施する。神谷常夫区長は「撤去作業は大変だが、豊年祭前に区民が一致団結できる。祭りを成功させたい」と笑った。

 名護市の動植物公園「ネオパークオキナワ」では13日午前11時過ぎ、正面入り口のビニール製看板を取り外した。同施設管理部長の宇栄原郁夫さんは「園内にある大型テント3張りは昨日、クレーンで片付けた。晴れているうちにしっかり備えたい」。

 同市宮里の居酒屋店主与那嶺徹さん(66)は「対策は万全だが、台風後に鮮魚が品薄状態にならないか心配」と困り顔。大宜味村根路銘の農家の宮城辰史さん(48)は、ビニールハウスをひもで固定し「14日からゴーヤーの苗の植え付けを予定していたのに」と眉をひそめた。

 うるま市には、昨年の台風6号接近時に土砂崩れが起きた場所も。同市川田にある住宅型有料老人ホーム近くの現場は、土のう袋で対策。崖の手前には土砂崩れがあった場合、市役所にメールで知らせるセンサーも設置した。(南部報道部・新崎哲史、北部報道部・下地広也、比嘉海人、中部報道部・又吉朝香)

台風に備え対策グッズ ホームセンターに多くの客

 浦添市のホームセンター、メイクマン浦添本店には、多くの人が台風対策グッズを求めて訪れた。

 同店では窓に貼る養生テープや懐中電灯、ポータブル充電器など関連商品を集めたコーナーを11日に設置。店員の山田好正さんによると、被害の大きかった2023年の台風6号の前例もあり、対策グッズの在庫を例年の1・5~2倍近くまで増やした。「13日から客足が伸びていて、防風ネットや懐中電灯が特に売れている」と話した。

 同市の上間陽さん(40)は電池式の懐中電灯を二つ購入。「去年の台風で4日間も停電して大変だった。ライトや食料などもしっかりと確保して台風に備えたい」と話した。(社会部・垣花きらら)

沖電が停電情報 LINEで配信

 沖縄電力は8月15日から、停電情報をLINEで配信するサービスを始めている。利用者が選択した最大4カ所の地域について、停電発生や復旧見込み、停電解消などの情報を受け取れる。チャット機能を使って、自宅の停電状況など個別の問い合わせもできる。

 沖電の担当者は「台風接近時は電話がつながりにくい場合がある。多くの人に登録してもらい、通知を確認してほしい」と呼びかけた。停電の原因は雨風のほか、飛来物による破損が考えられるとし「飛びそうな物は固定するか片付けるなど、台風対策への協力をお願いしたい」と話した。沖電のLINEアカウントの友達登録はこちら(https://line.me/R/ti/p/%40733bmyrt)

空や海一部欠航 早朝に運航判断

 台風接近で空や海の便に欠航が相次いでいる。日本航空(JAL)は14日、那覇を発着する4便の欠航。約140人に影響が出る見込み。琉球エアーコミューター(RAC)は同日、6便が欠航し約100人に影響する。

 沖縄旅客船協会によると、13日は主に沖縄本島と離島を結ぶ15便が欠航した。14日は2便の欠航が決まっており、その他の運航は早朝に判断する。

催し中止や延期

 台風13号に伴うイベントの中止や延期は次の通り。

 【中止】〈14日〉北大東島友好の集い(県市町村自治会館)〈15日〉『対馬丸とボーフィン』刊行記念イベント(対馬丸記念館、ジュンク堂書店那覇店)▽在沖池間郷友会敬老祝い会(浦添市社会福祉センター)〈16日〉『対馬丸とボーフィン』刊行記念イベント(対馬丸記念館、タイムスギャラリー)

 【延期】大嶺自治会敬老会は16日午後3時、大嶺自治会館▽照喜名朝一翁之像の除幕式は16日午後3時、南城市の知名くらじ広場▽「首里で楽しむ、首里の酒『酔い、宵い』」は22日午後5時、首里杜館▽「特別栽培農産物栽培マニュアル記念講演会と情報交換会」は日時、場所ともに未定▽新崎盛暉平和活動奨励基金の授与式とシンポジウムは11月に延期。場所未定。公撮影)

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